1ドル=143円台となった円相場を示すモニター=東京都中央区で2024年9月27日、幾島健太郎撮影

 27日の東京外国為替市場の円相場は、自民党総裁選の結果を受けて荒い値動きとなった。金融政策の見通しを巡って、一時は1ドル=146円台まで円安・ドル高が進んだが、石破茂元幹事長が新総裁に選ばれたことが伝わると一転して円高が進行。142円台後半を付ける場面も見られた。

 同日午後に開票が始まった自民党総裁選で、高市早苗経済安全保障担当相が1回目の投票で1位になると、円相場は1ドル=146円台半ばの水準となった。高市氏は安倍晋三元首相の路線継承を強調し、積極財政による「強い日本経済の実現」を掲げるとともに、日銀による利上げ継続に反対の立場を示していたため、低金利環境が続くことを意識した円売りが進んだ。

 円安は自動車など輸出関連企業の業績を後押しするため、東京株式市場で日経平均株価(225種)は大幅続伸した。終値は前日比903円93銭高の3万9829円56銭と、約2カ月ぶりとなる高値を付けた。

 しかし、東京株式市場が閉まった後の午後3時すぎ、決選投票を経て石破氏が第28代総裁に決まると一気に3円以上、円高が進行。午後5時時点は前日比1円83銭円高・ドル安の143円18~21銭だった。

 石破氏は長期化した金融緩和路線に批判的で、今後の日銀の追加利上げに理解を示すだろうとの見方から、円が上昇した。

 円高の進行もあり、週明け30日の東京株式市場では「売りが広がる」(市場関係者)とみられる。三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩氏は「石破氏が言及した金融所得課税の強化や法人税の引き上げに対して市場には警戒感が広がっている」と指摘する一方、「解散総選挙前までに具体的な経済支援策を打ち出していけば、徐々に市場は落ち着きを取り戻しそうだ」とも述べた。【成澤隼人、浅川大樹】

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