近鉄グループホールディングス(HD)は25日、小林哲也会長が取締役相談役に退き、都司尚社長が会長に、若井敬取締役専務執行役員が社長にそれぞれ就任する人事を内定したと発表した。
「利益を確保する気持ちが強く、不正をしないことに人の心がついていかなかった。とにかく走っていた」
新型コロナウイルス関連の受託業務で過大請求を行っていた近畿日本ツーリストの実態を、若井氏は記者会見でそう冷静に分析してみせた。背景に「バランス」を欠いた経営があったと反省する。
経理畑を歩み、2008(平成20)年のリーマン・ショックの影響が残っていた平成23年11月から近鉄不動産で財務の立て直しに当たった。「不動産事業の特徴やリスクを肌で感じた」と語る。
ただ、慎重なあまり「石橋をたたいても渡らない」経営者ではない。最近は経営戦略の担当役員として、国際物流を手掛ける近鉄エクスプレスの完全子会社化など、事業構造の見直しを小林哲也会長と二人三脚で進めてきた。
「鉄道は失敗できないが、ほかの事業は失敗を糧に成長する」と述べ、社長としての挑戦に意欲を燃やす。細心さと大胆さをあわせ持つリーダーになれるかが、近鉄グループ再生に向けた鍵を握る。(牛島要平)
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