熊本市電の相次ぐトラブルを受け、国交省九州運輸局は20日、運転士の教育や軌道の整備などについて熊本市交通局に対し改善を指示しました。

九州運輸局によりますと市交通局が定期的に行う独自の試験で合格点に満たなかった運転士を乗務させていたということです。

【九州運輸局 永松 靖二 鉄道部長】
「改善を要する事項が認められたことから改善措置を講ずるよう指示する」

福岡市博多区にある九州運輸局。

20日午後、永松 靖二 鉄道部長から熊本市の井芹 和哉 交通事業管理者へ原田 修吾局長名の改善指示文書が手渡されました。

熊本市電をめぐっては走行中に車両の扉が開く重大インシデントや赤信号で交差点に進入するなど、今年に入って11件のトラブルが起きています。

九州運輸局は7月と8月の2度にわたって市交通局の監査を実施。その結果、運転士の教育や軌道の整備などが適切に行われていない点が確認されたということです。

九州運輸局の改善指示文書には、定期的に行う市交通局の基準に基づいた試験で合格点に満たない運転士をそのまま乗務させていたこと。

また、左右のレールの幅が基準値を超過している箇所が複数あったことなどが記されています。

【熊本市 井芹 和哉 交通事業管理者】
「熊本市民の皆さまはじめご利用いただいている皆さま、また九州運輸局はじめ関係者に多大なご迷惑とご心配をおかけしていることを、まことに申し訳なく思っております。真摯に受け止めまして早急に(文書の)内容を確認し、10月、1カ月後の期限までにきちんと回答したいと思っています」

井芹 交通事業管理者はこのように陳謝し、「運転士への教育不足で安全意識の徹底が不十分だった」と述べました。

また、財政の健全化を目指す中で設備の更新が遅れ、レールや車両が老朽化したことなどもトラブルが頻発した一因ではないかと分析。

「今後は職員が一丸となって事態の改善を進め、トラブル防止に努める」と強調しました。

九州運輸局は市交通局に対し、改善した内容などについて10月21日までに報告するよう求めています。

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