(ブルームバーグ):2024年度の日本の株式資本市場(ECM)の規模が、04年度以来の高水準に膨らんでいる。政策保有株の放出に伴う売り出しの増加や、新興企業による新規株式公開(IPO)の復調が背景だ。

ブルームバーグのデータによると、24年4月からこれまでのECM市場はIPO、公募・売り出し、転換社債型新株予約権付き社債(CB)の発行などで77件、約2兆9000億円となった。同じ期間で比較すると04年度以来20年ぶりの高水準だ。金融機関によるトヨタ自動車株やホンダ株の売却などが全体を押し上げた。

BofA証券の長田州之介資本市場部門長は、今年度のECM市場は「6兆円、200件を超える勢いはある」と指摘。企業のバランスシートが良好なため、新株発行を伴う資金調達(エクイティーファイナンス)は少なく、けん引役は「政策保有株の売却やIPOになる」とみる。IPOではスタートアップの増加に期待している。

長田氏は足元の傾向について「グロースIPOがリスタートしてきている」と述べた。7月に東京証券取引所のグロース市場に上場したスポットワーク仲介サービスのタイミーIPOの投資家需要は強かったという。こうした例がIPO市場の活性化につながるとみている。

その上で、8月初旬の株価乱高下後の市場は落ち着いてきており、米国で利下げが見込まれていることもあり、企業がIPOに動きやすい「環境が整いつつある」との認識を示した。

今後は転職プラットフォーム運営を手がける新興企業のROXXのほか、東京地下鉄(東京メトロ)やキオクシアホールディングスなどの大型案件も予定される。

ただ、日米の金融政策や景気動向に加え、米大統領選挙を巡る不確実性などで為替・株式市場が大きく揺さぶられれば、国内ECM市場のリスクとなる。長田氏は日本銀行の金融政策も踏まえた国内の景気動向が、IPOを検討する発行体企業のビジネスに与える影響も注視している。

(第2段落の1月を4月に訂正します)

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