(ブルームバーグ):米金融当局が利下げを開始したとしても、マネー・マーケット・ファンド(MMF)に預けられた記録的な資金はさらに膨らむ方向だと、JPモルガン・チェースはみている。

米MMF、資金流入続く-利下げでも資金シフトの可能性低いとの見方

MMF総資産はこの1年間に着実に増加してきた。米投資信託協会(ICI)の最新データによると、9月4日時点で総資産は約6兆3000億ドル(約901兆円)に達し、ここ5週間の純流入額は1650億ドルに達した。米当局がこの1年間、政策金利を約20年ぶりの高水準に安定的に維持したことで、MMFの利回りは魅力的な水準にあり、高いリターンを求める投資家がMMFに押し寄せてきた。

JPモルガンのストラテジスト、テレサ・ホー、パンカジ・ヴォーラ両氏は6日の顧客向けリポートで「MMFはこの時期、季節的な資金流入が急増して運用資産増加を支える傾向があるほか、MMFからの資金流出は通常、米金融当局の緩和サイクルがさらに進むまで起こらない」と記した。

MMF総資産

米金融当局は今月予定される会合で約4年ぶりの利下げに踏み切ると見込まれているが、その規模はまだ市場で議論されている。

JPモルガンのストラテジストによれば、9月半ばに法人税納付期限を控えているため、短期的には「緩やかな」資金流出が予想されるが、大きな動きは2025年以降になる可能性が高い。過去のデータによると、同期限に伴う資金流出は平均約300億ドル。

米利回りスプレッド

同行の見方を支える事実として、米国債利回り曲線の短期ゾーンがなお大きな逆イールドとなっており、3カ月物と2年物のスプレッドが現行水準で約140ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)のマイナスになっていることがある。

両氏は「流動性投資家は利回り投資家にもなる傾向がある」とし、イールドカーブが正常化し、スプレッドがプラスに転じて初めて投資家の行動が変化すると予想。「平均的には最初の金融緩和から3カ月後にイールドカーブはプラスに転じる」と指摘した。

原題:JPMorgan Sees Money-Market Fund Assets Rising Despite Fed Cuts(抜粋)

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