(ブルームバーグ):ダイキン工業は、記録的な熱波でエアコンの販売がさらに伸びているインドでの生産能力強化に動く。南部にある主力工場近くの土地を購入し、新しい建屋を設ける考えだ。

インド空調事業トップを務めるカンワル・ジート・ジャワ取締役兼専務専任役員が大阪市の本社での8月28日のインタビューで明らかにした。インド南部のスリシティに建設した工場近くの33エーカー(約13万平方メートル)の土地を追加取得することで地権者と覚書を結んだという。

インドは今年、猛烈な熱波に襲われ5月には首都ニューデリーの気象観測所で最高気温の記録となる52.9度を記録した。同国は経済発展の一方で、国民の「93%がエアコンを所有していない」という。国際エネルギー機関によると、インドのエアコン保有台数は2036年には米国を抜いて世界第2位の規模になる見通しという。

巨大市場を取り込もうと各社が設備増強に動いており、タタ・グループ傘下の電機メーカー、ボルタスも新工場で設備増強を図る考えだ。

インドに住むジャワ氏も過去に経験したことがないという暑さがエアコンの需要を押し上げており、4-6月のエアコン販売は現地通貨ベースで前年同期比約40%増と事前の想定を大幅に上回ったという。

既存工場でも増産

ダイキンはインドを空調機器の輸出拠点とし、アフリカも含めて100カ国に供給する計画を進めている。既存工場でも増産に動く考えでスリシティの工場では来年にもシフトを増やす方針だ。

ジャワ氏はまた、インドは人材や研究開発能力などの優位性があり、製品の品質も向上していると指摘。ホンダなど他業種の例を挙げ、将来的にはインドから日本にエアコンを逆輸入することについても「可能性は排除しない」と述べた。

現地の空調メーカーからダイキンに移ってきたジャワ氏はインドでのエアコンシェア首位を実現するなど業績拡大をけん引してきた。20年までの約10年間でインドでの売上高は約10倍となり、25年までにはさらに21年比で倍増させることを目指している。

ムンバイ市で売られるダイキンのエアコン

インド市場の成長についてダイキンは「極めて強気な見通し」を持っているとし、 今後も積極的な投資を続けていく考えを示した。同国での合併・買収(M&A)も検討しており、業務用の冷凍・冷蔵機器分野に特に関心があるという。

現地でも食品を冷凍保存する文化が根付き始め、かつてのエアコンのように急激に普及する可能性があるとジャワ氏はみる。エアコン事業で培った物流や部品供給網、メンテナンス体制の活用もできるとして、業務用の冷蔵・冷凍機器分野との相乗効果が見込めるとしている。具体的な社名や規模などについては言及しなかった。

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