弁当のおかずや日ごろの食事に手軽でおいしいと人気の冷凍食品。近年の値上げラッシュで価格は上昇しているが、日本冷凍食品協会(東京都中央区)がこのほど発表した調査結果によると、「この1年で利用頻度が増えた」とする人が一定数いるという。なぜか。
調査は同協会が2月、冷凍食品を利用している25歳以上の男女1万人にインターネットで実施した。
それによると、冷凍食品の利用頻度は「週2~3回程度」との回答が25・2%と最多で、「週1回程度」が23・2%で続いた。利用目的は、自宅で食べる夕食や昼食が多かった。
1年前と比べた冷凍食品の利用頻度は、「変わらない」が65・8%を占めたものの、「増えた」は22・9%で、「減った」の6・6%を大きく上回った。
増えた理由(複数回答)は、「調理が簡単で便利」「おいしいと思う商品が増えた」が上位で、手軽さや味わいといった冷凍食品の特長が目立った。男女別にみると、女性では「野菜など生鮮品の価格が上がったから」が24・1%と2020年以降の調査で最多になったほか、「テレビや新聞などで紹介されていたから」も14・6%で前年から約10ポイント増。物価高が家計を圧迫する中、比較的安価な冷凍食品を選ぶ人や、冷凍食品を取り上げるメディアが増えたことがうかがえる。
さらに23年の記録的な猛暑によって食生活や食事の支度に変化があったか聞くと、女性では「料理時間が短くなった」、男性では「家で食べることが増えた」が最も多く、自宅で手軽に調理できる冷凍食品の利用が広がったとみられる。
一方、安価な冷凍食品にも値上げの波は押し寄せている。メーカー出荷価格(家庭向け)では、3月にニチレイフーズが冷凍と常温食品を約1~6%、ニッスイが冷凍55食品を約3~13%、それぞれ値上げに踏み切るなど、主要各社で値上げが相次いでいる。こうした価格の変化を感じている人は多く、1~2年前と比べて冷凍食品の値上げを感じるとの回答は、女性の71・5%、男性の62%に上った。
ただ、米やパンなどを含め、値上げした12食品について、それぞれ購入量が増減したか尋ねると、冷凍食品では「減った」が女性で5・3%、男性で2・6%にとどまった。逆に「増えた」は女性14・7%、男性17・1%といずれも12品目中トップで、値上げのダメージを上回るメリットを感じている人も少なくないようだ。【嶋田夕子】
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