(ブルームバーグ):米司法省は23日、米不動産関連サービス会社リアルページを反トラスト法(米独占禁止法)違反の疑いで提訴した。不動産管理業者が共謀して何百万戸もの賃貸物件の家賃をつり上げるのを手助けしたとしている。

プライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社トーマ・ブラボー傘下のリアルページは、賃料設定で家主を手助けするソフトウエアを提供している。司法省が提出した訴状によると、独禁当局はこのソフトウエアが事実上、不法に家賃を押し上げていると主張している。リアルページは、賃貸集合住宅向けソフトウエアで最大手。

訴状では「リアルページは競争という自然の力をくじくことで事業を築き上げてきた」と指摘し、同社幹部による反競争的な発言を引用している。

今回の訴訟はノースカロライナ州の連邦地裁に提起された。司法省の当局者によれば、アルゴリズム利用の共謀の取り締まりで初の大型案件で、そうした企てはテクノロジーの活用でより巧妙になっているという。

ガーランド司法長官は提訴後の記者会見で、「企業が家主と共謀して違法行為を行う新たな方法を編み出したという理由で、米国民が家賃を余計に支払わなければならないということはあってはならない」と語った。モナコ司法副長官は「機械に違法行為を学習させることも違法行為だ」と付け加えた。

記者会見するガーランド米司法長官(8月23日)

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期以来、米国では住宅の価格と賃料が急上昇している。住宅取得の困難さは今年の大統領選で主要な争点の一つとなっている。民主党候補のハリス副大統領は、初めての住宅購入者向けの頭金支援などの対策を打ち出す考えを表明している。

ジローの指数によれば、米国の平均家賃はコロナ禍初期以来、33%上昇している。

リアルページは、法に従っているとし、コンプライアンス(法令順守)のため司法省と協力してきたとコメント。「リアルページの収入管理ソフトウエアは法律に適合するように構築されており、司法省と建設的に協力してきた実績がそれを示す」とした。

テキサス州リチャードソンを拠点とするリアルページは、2021年にトーマ・ブラボーに買収された。訴状によれば、米賃貸集合住宅向けの商業収入管理ソフトウエア市場で80%のシェアを握っている。

原題:Thoma Bravo’s RealPage Sued by US in Rental Collusion Case (2)(抜粋)

--取材協力:Patrick Clark、Chris Strohm、John Tozzi.

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