たわわに実った稲穂=さいたま市緑区で2023年9月5日、宮間俊樹撮影

 総務省が23日発表した7月の全国消費者物価指数によると、コシヒカリを除くうるち米が前年同月比18・0%上昇と20年ぶりの高い水準となった。昨年の生育不良でコメの供給量が減少する中、外食産業を中心に消費量が回復していることが原因だ。

 一部のスーパーでは品切れになるなどコメの不足感が強まっている。農林水産省は新米の収穫が本格化すれば供給不足は徐々に解消されるとして冷静な対応を呼びかけている。

 20年前の2004年4月は前年の冷夏で生育不良となり供給量が不足し、19・5%の大幅上昇となった。コメの国内需要は人口減少などの影響で毎年10万トンほど減少していたが、特に23年産米は猛暑による「高温障害」でコメどころを中心に生育が悪く、流通量が減少していた。

 そこにコメ消費の回復が重なった。農水省の試算によると、昨年7月~今年6月のインバウンド(訪日外国人)によるコメ需要は5・1万トンとなり、前年同期に比べ3・1万トン増えた。インバウンドを含めた外食需要が高まり消費量が増えたことから需給が逼迫(ひっぱく)し、品不足感から価格を大幅に押し上げた。コメを使用した食品にも影響は拡大し、7月はせんべいが16・1%、おにぎりは5・7%上昇している。

 24年産米の収穫はこれから秋にかけて本格化していく。農水省は「確実に産地から供給されるので落ち着いて対応してほしい」としている。

 7月の生鮮食品を含む総合指数(20年=100)は108・6と前年同月比2・8%上昇、生鮮食品を除く総合指数(コア指数)も108・3と2・7%上昇した。政府の補助金がなくなった電気代は22・3%上昇となり、第2次石油危機の影響を受けた1981年3月の41・2%以来の上昇幅となった。【福富智】

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