(ブルームバーグ):米金融当局は31日、9月利下げの可能性を示唆することで、二十数年ぶりの高水準にある主要政策金利の引き下げに近づく公算が大きい。ただ、さらなる詳細に踏み込むには至らない可能性がある。

ブルームバーグ・ニュースがエコノミストを対象に実施した調査では、連邦公開市場委員会(FOMC)は同日まで2日間の日程で開く会合で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.25-5.5%に据え置く見通しだ。

金融当局は金利決定を盛り込んだ声明を米東部時間31日午後2時(日本時間8月1日午前3時)に発表し、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が2時半から記者会見する。


6月の米消費者物価指数(CPI)が落ち着いた数字となったことで、金融当局者はインフレ率が利下げの前提条件である2%の物価目標に向けて鈍化傾向にあることを認める公算が大きい。

一方、失業率が徐々に上昇しつつあることを踏まえ、近いうちに金融政策の景気抑制の程度を弱めることが適切になるとの見方も示唆する可能性がある。

ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略責任者、スバドラ・ラジャッパ氏は当局者について、「声明の文言を変更し、9月の会合での利下げの可能性を示唆するものと考えられる」と話す。

ラジャッパ氏は、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が最近の発言で景気抑制的な領域からの移行を検討していると述べた点に触れ、「彼らとしても、その種の文言を用いる可能性がある」と指摘した。

金利決定

ブルームバーグの最新調査では、全てのエコノミストが今週の会合での金利据え置き見通しで一致した。金融当局者は声明で、インフレ見通しの改善を強調する公算が大きい。6月12日の前回声明では「緩慢」な進展が見られたとしていたが、今回の声明は「一段の進展」とする可能性もある。

FOMCはさらに、インフレ率が2%の目標に向かっているとの自信が幾分増したとして、近いうちの利下げを見込んでいるとのシグナルを発信することも考えられる。

ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の米国担当チーフエコノミスト、アナ・ウォン氏は「市場は9月の米利下げの可能性を完全に織り込んでいるが、7月30、31両日のFOMC会合に関する大きな疑問は、それについてどれほど明確なシグナルを発するかだ」とコメントした。

その上でBEとしては、今週のFOMC会合で「9月利下げの暫定的なヒントが示されるだけで、『データが予想通りの展開となれば』利下げの可能性があるとパウエル議長が示唆するものと想定される」との予想を示した。

記者会見

パウエル議長は記者会見で、9月17、18両日の次回FOMC会合の見通しや、年内および来年の金融緩和ペースについて記者団から質問を受ける可能性がある。議長は恐らく、インフレ面の最近の朗報を歓迎しつつも、金融政策の道筋は「データ次第」であり当局は「会合ごと」に判断するとしたお決まりの回答をすることも想定される。

このほか、労働市場の軟化を巡る懸念の程度や、対応が必要となる「予期せぬ軟化」に何が該当するかを巡っても記者団の質問がありそうだ。6月の米失業率は4.1%と、2023年の早い時期に3.4%だった状態から悪化している。7月の雇用統計は8月2日に発表の予定。

原題:Fed to Hold Rates and Signal September Cut: Decision Day Guide(抜粋)

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