金融政策決定会合に出席するため、日銀本店に入る植田和男総裁=東京都中央区で2024年7月31日午前8時23分(代表撮影)

 日銀は31日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物)について、現行の「0~0・1%程度」から「0・25%程度」に引き上げることを決めた。日銀の利上げはマイナス金利を解除した2024年3月以来4カ月ぶり。政策金利の水準としては、白川方明(まさあき)総裁時代の08年12月(0・3%)以来の利率となる。

 賃上げの動きが全国に波及し、日銀が掲げる2%の物価安定目標の実現が近づいているとみて、3月のマイナス金利解除後も続けてきた緩和的な金融環境を引き締める必要があると判断した。歴史的な円安・ドル高で輸入品の価格などが上がっており、物価の上振れリスクも考慮したとみられる。

 今回の利上げによって、変動型の住宅ローン金利や企業の借入金利が上がる可能性があるが、日銀は景気全体へのマイナス影響は小さいとみている。

 一方、6月の前回会合で減額する方針を決めた国債買い入れについては、現行の「月6兆円程度」を、今後は四半期ごとに4000億円程度ずつ減額し、26年1~3月に3兆円程度に縮小させる計画を決定した。満期を迎えた国債の償還(払い戻し)のペースが買い入れ額を上回ることで、保有国債を減らす「量的引き締め」が本格的に始まる。

 日銀は3月に長期金利を0%程度に抑え込む政策を撤廃しており、国債買い入れの縮小によって、長期金利はより自由に市場で形成されるようになる。【浅川大樹】

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