(ブルームバーグ): 仏高級ブランドグループ、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンは、ティファニー買収で世界有数の宝飾品販売大手に躍進した。だが、取得から3年、業界最高額となる160億ドル(現在のレートで約2兆5100億円)をつぎ込んだ大型買収は、計画通りには進んでいないようだ。  

  宝飾品業界は減速が鮮明だ。ティファニー店舗は、野心的な目標を達成できずにいる。LVMHのベルナール・アルノー会長はブルームバーグ・ビジネスウィーク6月号のインタビューで、ティファニー再建について「すぐには成し遂げられない」と発言。忍耐が必要だとの考えを示した。

  LVMH傘下でティファニーの売上高は伸びたが、最近退社した従業員の一部は、達成不可能とされる売上高目標を設定していたと話した。関係者によれば、従業員は以前より低いコミッションしか受け取れず、そのため一部は上客の一部を連れてカルティエやハリー・ウィンストンなど競合他社に移籍した。

  ティファニーがLVMH傘下の体制へと軌道修正する中で、販売員の流出により混乱が広がっているという。

  ニューヨーク市マンハッタンにあるティファニー旗艦店は、同社の年間売上高の約1割を占めるため、同店舗での目標未達は成長見通しの足かせとなりかねない。23日に決算を発表するLVMHの売上高にも影響を与える可能性がある。

  ティファニーの広報担当者は声明で、LVMHによる買収以降、ニューヨーク旗艦店の売上高は4倍に増えたと説明。2023年4月のリニューアルオープンから24年5月まで、LVMHの単一ブランド店の中で「最も高い収益を上げている」と述べた。

  LVMHは23年4月、約3億5000万ドルをかけて改装した旗艦店の名称を「ザ・ランドマーク」に変更。だが、タイミングが悪かった。ティファニーの顧客は新型コロナウイルス禍後の消費ブームに乗っていたが、ここにきてインフレが売上高を下押ししている。

  ティファニーはまた、カルティエなど競合勢に市場シェアを奪われている。調査会社ユーロモニター・インターナショナルの直近データによると、2023年の高級宝飾品ブランド市場におけるティファニーのシェアは前年比で約0.7ポイント低下した。一方、カルティエは同期間に市場シェアを4ポイント伸ばしている。

ニューヨーク5番街にあるティファニー旗艦店Photographer: Jeenah Moon/Bloomberg

原題:Tiffany’s NYC Store Grapples With Lofty Goals, Staff Exits(抜粋)

(最終段落に市場シェアに関する記述を追加します。更新前記事では、第1段落で世界有数の宝飾品販売大手になった企業名をLVMHに訂正済みです)

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