岩手県八幡平市安代地区から二戸市浄法寺町を中心に行われる「漆」がテーマのスタンプラリー。その名も「うるし つなぐ つながる スタンプラリー」だ。

八幡平市から二戸市へと流れる安比川流域を漆文化に触れながら巡る。
かつて安比川流域では上流、中流、下流ごとに役割を分担して漆器生産を行っていた。

受け継がれてきた技術と文化は、2020年に日本遺産に認定、ユネスコの無形文化遺産に登録された。

スタンプラリーは二戸市と八幡平市などでつくる「日本遺産奥南部漆物語推進協議会」が企画し、2024年が初めての開催となる。

二戸市 日本遺産プロジェクト推進室 岩崎悠二郎さん
「日本遺産を市内外の人たちに知ってもらいたい。他にもグルメなど魅力的なものがたくさんある。実際に現地を回って楽しんでもらいたい」

対象施設は漆文化を知ることができる博物館や飲食店など、全部で32カ所。
スタンプシートは、各対象施設で無料で貰うことができる。
スタンプラリー用の各店の頭文字が入ったハンコは、パズルのようにつながるデザインになっている。

最初に訪れたのは安比川の下流・浄法寺地区にある滴生舎。浄法寺漆を使った漆器をつくっている。

滴生舎 漆塗り職人 馬場真樹子さん
「国産漆は、漆業界で使われているものの中ではわずか。その中の大部分が、この地域から出荷されている」

国産漆のうち約8割の生産量を占めるという浄法寺漆は日本を代表する産業だ。

次は安比川の中流・安代地区にある「八幡平市博物館」でこの地域の漆文化を学ぶ。

「八幡平市博物館」では、地域に伝わるウルシの歴史や漆器づくりの工程、実際に使っていた道具などを見ることができる。

木のコブを利用したというユニークな形の盃からは、昔の人々の生活もうかがうことができる。

3軒目は博物館からすぐの安比塗漆器工房。普段使いしやすいシンプルなデザインが特徴の安比塗の漆器を製造・販売している。

安比塗漆器工房の工藤理沙さんに、スタンプラリーのもう一つの楽しみ方を教えてもらった。

安比塗漆器工房 代表理事・工藤理沙さん
「今つけているバッジは、スタンプラリー対象店舗のうち6店舗で販売しています」

それぞれの店舗の特色を表すイラスト描かれている「うるしつながるバッジ」。
売り上げの一部は、能登半島地震によって被害を受けた石川県輪島市の漆器産業などへの支援金として寄付される。

安代地区にある「麹屋もとみや」は、約90年にわたり八幡平市で麹や味噌をつくる老舗。ソフトクリーム「みそソフト」が人気だ。
ほんのりと香るみそがミルクの甘味とマッチして、スタンプラリー中のひと休みにぴったりだ。
「麹屋もとみや」でもスタンプをもらうことができる。

二戸市日本遺産プロジェクト推進室の岩崎悠二郎さんは、「(漆のスタンプラリーで)安比川流域で受け継がれてきた漆文化を、実際に職人たちや地域の人たちと触れ合って楽しんでもらいたい」と話していた。

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