フェイスブックとメタのロゴ(ロイター=共同)

フェイスブック(FB)をやってはいけない。なぜなら、もしあなたがFBがもとで被害にあっても、よほどのことがない限り、助けてはくれないからだ。

たった4日で乗っ取られ

コロナ禍以前、仕事仲間から「いちいちお前だけメールで連絡するのは面倒だからFBに入ってくれ」と頼まれ、しぶしぶ入った。

やってみると確かに便利で、つきあいが広がったような気になった。ところが、使用開始4日後、何者かにアカウントを乗っ取られた。

すぐさまFBにどうしたらいいか問い合わせようとしたが、電話での相談窓口がなかった。仕方なくメールでアカウントの停止を求め、善後策を聞いたが、かなりの時間を経てかえってきた答えは、いずれも木で鼻をくくったようなものばかり。しかも当方が「ホンモノ」かを疑うような文面がある一方で、「犯人」については、ろくに調べようともしなかった。

もし今もFBに「産経新聞社 乾正人」を名乗るアカウントがあれば、それは偽者である。

そんな昔話を思い出したのは、FBの運営会社であるMetaが出した堀江貴文、前沢友作両氏らの著名人をかたった投資詐欺広告に関する声明文が、あまりにも酷(ひど)かったからだ。

詐欺の仕組みはいたって単純。犯人は、著名人になりすましてFBやインスタグラムなどSNSに「絶対に儲(もう)かる投資銘柄を教える」といった広告を大量に投下。個人情報を入手したうえ、投資金を振り込ませてドロンする。私も「池上彰」バージョンを見たことがあるが、「池上さんもこんな商売に手を出したのか」と一瞬思ったほどの出来で、函館市の女性が500万円騙(だま)し取られるなど、被害者が続出した。

「開き直り」が酷すぎる

たまりかねた堀江氏らが10日、自民党の会合に出席し、プラットフォームの規制強化を訴えると、ようやくMetaも次のような声明文を16日、公表したが、酷いのなんの。

「詐欺広告をプラットフォーム上からなくすことは、Metaのビジネスにとって必要不可欠なことです」としながらも「世界中の膨大な数の広告を審査することには課題も伴う」と人ごとのように釈明。

さらに、「詐欺対策の進展には、産業界そして専門家や関連機関との連携による、社会全体でのアプローチが重要だと考えます。Metaとして、その中で役割を果たすべく注力する所存です」と開き直った。

名前を使われた前沢氏が「おいおい。まずは謝罪の一言は?社会全体のせい?『審査チームには日本語や日本の文化的背景を理解する人を備えている』なら、俺や堀江さんや著名人が利用された詐欺広告なんてすぐに判別できるでしょ?なめてんの?」と激高したのも当然だ。

そう。ザッカーバーグ氏らMeta首脳陣は、被害を受けても泣き寝入りする日本人をなめているのだ。「膨大な広告」から「膨大な利益」をあげているのだからもっと審査をちゃんとやれ。情報流出が止まらないLⅠNEも同じ穴のムジナだ。

中高年の皆さん、SNSを捨て、街に出よう。FBをしなくても人生結構、楽しいですよ。マジで。(コラムニスト)

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