新品の約2割安く販売も、1年間の保証付き。大手電機メーカーのパナソニックが中古家電の販売に本格参入すると発表しました。背景には物価の値上がりと、消費者の節約志向の強まりがあるといいます。

パナソニックが中古家電に本格参入 背景に“価格の高騰”

春の新生活で、大きな買い物と言えば、家電製品。その家電をめぐり10日、大きな動きがありました。パナソニックが中古の家電事業への本格参入を打ち出したのです。

パナソニックは2023年12月から販売後、すぐに不具合が見つかった場合など、修理して再販売する事業を始めています。当初はドラム式洗濯乾燥機と有機ELテレビが対象でしたが、これを10日から冷蔵庫などに広げ、これらの製品には1年間の保証をつけます。

公式サイトをみてみると、例えば高性能ドラム式洗濯乾燥機の新品は34万8480円ですが、中古だと27万8900円。約2割、7万円ほど安くなっています。

なぜ、いま大手メーカーが中古家電に本格参入するのか。背景にあるのは、価格の高騰です。

部品の値上がりや円安で、2022年度の洗濯機の平均価格は9万円と5年前に比べて3割上昇しています。消費者の節約志向が強まる中、家電量販店などでは“価格の安い”中古家電の販売が大幅に拡大しているのです。

こうした状況を受け、日立も2022年からオンラインで中古家電を新製品よりも3割程度安く販売しています。

メーカー各社としては新製品に加えて中古家電も扱うことで、より多くの顧客を掴みたい考えです。

値崩れを防ぐためのマイナーチェンジから“中古でも価値の落ちない製品で勝負”へ

小川彩佳キャスター:
最新の製品はいろんな機能があって至れり尽くせりなんですけれども、至れり尽くせりすぎて使いきれない、もっとシンプルでいいかなっていう方はもしかしたら中古製品に惹かれるのかなと思いますね。

トラウデン直美さん:
1回メーカーが回収して、完全にきれいにして、少しアップデートして売っているものだから中古とはいえ、きっと新品のような、数年前のものっていう事なんだと思います。こういったまだ使えるものを使っていこうという取り組みというのは本当に大事なことだと思うので、メーカーが率先してやっているのはすばらしいことだなと思います。

藤森祥平キャスター:
今回パナソニックが中古家電に参入したことについて、news23ジャーナリストの経済担当・片山薫記者は「パナソニックはこれまで、値崩れを防ぐためのマイナーチェンジで“新製品”を出す戦略が中心だったが、今の家電はソフトのアップデートで新製品同様に、新たに生み出すことができる。数年単位の商品開発で『中古でも価値の落ちない製品で勝負』していくつもり」だといいます。

日本総研主席研究員藻谷浩介さん:
最近よく途上国に旅行するのですが、どこに行っても日本社の中古車が走っていまして、現地のドライバーに話を聞くと「やっぱり日本車はいいんだ」って言うんです。それに比べて、電気製品ってほんの一部つまみが壊れたら買い替えるようなことがあるじゃないですか。もったいないなといつも思っていたので、やはり日本製品はいつまでも補修すれば使えるブランドを作るのはすごくいいことだと思う。

ただ、それって景気の面ではどうなのか。中古じゃないと売れない状況って、安いものが売れるということなのでデフレですよね。エコにはすごくいいが、日本の景気は大丈夫か?という気もしますね。

トラウデン直美さん:
中古でも価値が落ちないようにしていけばいいということですよね。

藻谷さん:
時計のように補修すればいつまでも使えるような感じで、本当にブランドアップしていくという方向にいかしてくれればいいと思うんですけどね。

小川キャスター:
大事に使い続けるというマインドも大切なことですよね。

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