連合の芳野友子会長は18日の記者会見で、衆院3補欠選挙(28日投開票)の一つである東京15区補選に言及し、立憲民主党新人が共産党から支援を受ける構図に関して「連合としては容認できないと判断する」と表明した。共産との選挙協力を否定する連合は、支援先の立民、国民民主両党に対し一貫して「共産切り」を促しており、改めてくぎを刺した形だ。15区は立民と国民民主が議席を争う関係となっており、連合は対応に腐心している。

会見に先立つ中央執行委員会では、連合東京が15区での自主投票を決めたことを報告した。芳野氏は会見で、連合東京の判断を「受け止めることになる」と説明した。

自主投票に至った背景には、立民、国民民主両党の対応が分かれたという事情がある。国民民主は立民新人の支援には回らず、小池百合子東京都知事が支援する無所属新人を推薦した。

連合にとっては、支援先が「股裂き」となった構図の複雑さに加え、共産との関係も懸案としてのしかかる。共産は自らの擁立予定者を取り下げて立民新人を支援しており、実質的な選挙協力とも解釈できるからだ。芳野氏が露骨に不快感を示したのも無理はない。

「立・共共闘」に対しては、国民民主からも批判の矛先が向く。玉木雄一郎代表は9日の会見で、憲法や安全保障を巡る共産との見解不一致を問題視し「共産と調整するということになると、その枠組みに参加しづらくなる」と指摘した。

連合は、次期衆院選の基本方針に、共産を念頭に置いて「異なる社会の実現を目的に掲げる政党から支援を受ける候補者は推薦できない」との文言を盛り込んでいる。ただ、立民内には「共産の地盤が厚い東京では、共産とのすみ分けは不可避」(中堅)との声もあり、認識の違いは根深い。

一方、3補選のうち島根1区と長崎3区では、国民民主が県連レベルで立民候補の支援に回り、両党の連携が実現した。芳野氏は会見で、連合の地方組織にとって「非常に戦いやすい構図になった」と評価し、次期衆院選に向け、引き続き両党に対して連携を呼び掛けていく考えを示した。

島根と長崎では、立民候補に対し共産が「自主的支援」という態度をとっているが、芳野氏は「東京の構図とはかなり違う」と一定の理解を示した。距離を置いた形での協力にとどまったことなどを考慮したとみられる。(松本学)

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