SOMPOホールディングスの奥村幹夫社長兼グループCEO=東京都新宿区で2024年5月23日、井口彩撮影

 ビッグモーター(BM)の不正請求問題では、損害保険ジャパンが他の損保大手に比べBMとの根深い癒着を指摘された。親会社のSOMPOホールディングス(HD)の社長兼グループ最高経営責任者(CEO)に4月就任した奥村幹夫氏に、ガバナンス(企業統治)の課題を聞いた。

 ――2023年度は不祥事が相次ぎました。

 ◆いろいろな方にご迷惑をおかけし、深く反省している。保険業法改正による保険の自由化や人口減少、自然災害の増加といった環境変化に対し、売り上げを伸ばせばお客様から認められ、収益もついてくるという「トップライン至上主義」のまま、ビジネスモデルや価値観を変えられなかった点が一番の問題だ。

 ――BM問題では損保ジャパンが不正情報を親会社に報告せず、上意下達の企業文化を指摘されました。

 ◆好ましくない情報を上げにくい雰囲気はあったと思う。我々(経営層)自身が積極的に情報を取りに行くことが必要だ。今後はSOMPOHDと損保ジャパンの役員が同じフロアで働くようにして、情報共有しやすい環境を整備する。

 ――信頼回復をどのように進めますか。

 ◆BM問題でも価格調整問題でも、一番反省しなければならないのはSOMPOグループだ。「真摯(しんし)に反省しています」と口だけにならず、二度と繰り返さないための仕組みや行動に落とし込まないといけない。

 ――政策保有株の売却に向けた道筋は。

 ◆現在1兆8000億円(時価)ある政策保有株を30年度までにゼロにすると決めた。24~26年度の間に最低6000億円を削減する。売却で得た資金は、半分を株主還元に、もう半分は成長戦略に使いたい。【聞き手・井口彩】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。