まもなく本格的なシーズンを迎えるサクランボについて。今年は、2つの実がくっついた「双子果」が多く生産者を悩ませているが、収穫を控えたいま新たな問題が起きていた。

さがえ西村山さくらんぼ部会の大沼喜一部会長は、5日、真っ赤に色づいた早生(わせ)品種の「高砂(たかさご)」の収穫にあたっていた。
来週からは人手を増やし、「佐藤錦」の収穫と最も忙しい時期を迎えるが、気がかりなのは晩生(おくて)の品種「紅秀峰」の出来だ。

(大沼さんとのやりとり)
大沼さん「これが紅秀峰」
白田アナ「双子果、すぐわかります。大沼さん、今年はやっぱり多いんですか?」
大沼さん「多い。例年よりずっと多い」
白田アナ「こっちも…けっこう双子果が大きく育っていますね。この上がすごい、全部、双子果」
大沼さん「もうがっかり…、今年はがっかりです」

去年の猛暑の影響でめしべに異常が生じ、今年、数が増えている双子果。
双子果は正規品として出荷できないため、多ければ多いほど生産者の収入は減ってしまう。

(さがえ西村山さくらんぼ部会・大沼喜一部会長)
「かなりマイナスだと思う。極端にいうと昨年度の半分、半分以下になるのでは」

そして今、双子果以外の新たな問題が…。

(リポート)
「サクランボの木を見ていると双子果が多いのはわかるのですが、加えて、実割れしています。真っ赤に熟しすぎて割れるサクランボを見たことはあるのですが、色づいている最中・これから大きくなるという段階で割れている実はあまり見たことがありません」

(さがえ西村山さくらんぼ部会・大沼喜一部会長)
「この時期の実割れはない、初めて。雨で割れたことはあるが、おしりの方から割れるのはまずない」

今年は、春先の天候の影響で受粉がうまくいかず実の数が少なくなり、“残った実に養分や水分が行き過ぎたこと”が実割れの要因とみられている。
本来、双子果は正常な実の品質を落とさないようもぎ取るとされているが、大沼さんはこれ以上実割れしないようあえて双子果を残す選択をした。
さらに、もう一つ、双子果を残す理由がある。

(さがえ西村山さくらんぼ部会・大沼喜一部会長)
「お客さんに電話したら、『少しなら入れてほしい、孫たちが喜ぶ』との話があった。子どもたちが開けた瞬間『ラッキー』と思うのでは…と。少しだが入れるつもり」

双子果が多いことを受け、JAさがえ西村山は少しでも生産者の収入アップにつなげようと、きれいにできた双子果を「わけあり品」として出荷することを決めている。
収穫まであとわずか、大沼さんたち生産者は、今年は特に貴重なサクランボをより高品質に仕上げるため力を尽くしている。

(さがえ西村山さくらんぼ部会・大沼喜一部会長)
「紅秀峰も佐藤錦もすべておいしいサクランボを消費者に届けたい/1粒残らず食べてもらいたい」

確かに子どものころ、双子果・双子のサクランボを見つけると嬉しかった記憶がある。双子果を入れるのはいい案かもしれない。
大沼さんの園地で、実割れした佐藤錦を食べた。実は割れているが、甘くて酸っぱくてとてもおいしかった。数は少ないかもしれないが、今年もおいしいサクランボが期待できそうだ。

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