登山アプリを運営する「YAMAP(ヤマップ)」(福岡市)は28日、登山やキャンプ、マリンスポーツといったアウトドアなどでのけがや遭難、道具破損を補償する保険商品の販売を始めたと発表した。今後はアプリユーザーの行動データを活用し、登山者の特性に応じて保険料が変わる保険商品の販売も進める。
ヤマップは2013年設立のベンチャー企業。スマートフォンのGPS(全地球測位システム)を使い、電波が届かない山中でも現在地や登山ルートを確認・記録できるアプリを運営する。今回、香港系の資産運用会社など14社・個人から約20億円を調達して「ヤマップネイチャランス損害保険」を設立した。
日常生活でのけがから登山中の遭難・事故まで対応する「外あそびレジャー保険」(7日間580円から)と、一般的な家財保険にキャンプ用品などの補償を加えた「アウトドア家財保険」の2種類を設けた。レジャー保険では、アプリの位置情報機能を活用して付近の人に行方不明者の情報提供を呼びかけるサービスもある。今後5年間で損保会社単体の売上高100億円を目標に掲げる。
ヤマップは22年10月まで他社の登山者向け少額短期保険を代理店として販売していた。しかし、商品の幅が広げにくいため、自前の商品開発・販売に踏み切った。
自社の登山アプリから得られるデータと連携し、登山中の歩行距離に応じて保険料が決まる商品も今秋ごろの発売を目指す。将来は登山回数や登山ルートなどのデータを活用し、安全な行動をとる登山者は保険料が安くなる仕組みを作れるという。ヤマップ創業者の春山慶彦最高経営責任者(CEO)は記者会見で「日本におけるインシュアテック(保険とテクノロジーを掛け合わせた造語)の先駆けを目指したい」と話した。【井口彩】
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