デフレの象徴的な存在だった外食産業で、前年度比10%を上回る賃上げが相次いでいる。「すき家」などを展開するゼンショーホールディングス(HD)に続き、うどんチェーン店「丸亀製麺」などを運営するトリドールHDも2024年6月分から平均10%の賃上げを実施する。創業者の粟田貴也社長は「『お客様にとって良いことをしたい』という内発的動機を働く人が持つことが非常に大切。報酬はその方策の一つです」と話す。
トリドールHDの賃上げは、丸亀製麺や肉のヤマ牛など子会社5社を含む正社員1549人が対象で、ベースアップと定期昇給を合わせて平均10%。労働組合の要求を上回り、過去最大の賃上げ幅となる。これに先立ってゼンショーHDは正社員平均で12・2%の賃上げを実施した。
トリドールHDの粟田社長は、毎日新聞の取材に「安値競争は食材や人件費などにしわ寄せが来て、誰も得をしない不毛な戦い。長年のデフレ傾向がそういう土壌を作ってしまった」と振り返った。
今回の賃上げを通じて「いま働いている従業員の幸せ、モチベーションを高く維持していかないといけない。(従業員に)しっかり報いたいと考え、組合の要求を上回る回答した」と明かした。【後藤豪】
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