対話型の生成人工知能(AI)「チャットGPT」を開発した米新興企業オープンAIが15日、アジア初の拠点として東京都内に日本法人「オープンAIジャパン」を設立したことで、国内の生成AIを巡る動きが活発化しそうだ。生成AIを巡っては大手企業を中心に国内でも活用が広がっている。文書作成やデータ収集で利用されているケースが多いが、ソフトウエア開発や商品企画など、より高度な活用も始まっている。ただ、AIの事実誤認などリスクを懸念し、対外的な活用に二の足を踏む企業も少なくない。
認知度も急上昇
PwCコンサルティングが昨秋に行った調査でも企業による生成AIの活用が急速に普及している実態が浮き彫りとなっている。
調査は売上高500億円以上の国内企業の課長以上を対象に実施。87%が生成AIを活用中、または推進・検討中と回答した。昨春の調査では推進・検討中は22%で、大幅に増加。生成AIを全く知らないという人も昨春の44%から4%まで減っており、認知度も急速に高まっている。
ソフトウエア開発も
実際の活用は、報告書や議事録の要約、データ収集などテキスト生成系が約5割を占めており、三菱UFJ銀行も昨年11月から稟議(りんぎ)書の作成などで活用。旭化成も取引先からの問い合わせの回答をAIで作成しており、年間で約1800時間の作業の削減を見込む。
最近は高度な活用も進む。LINEヤフーはソフトウエア開発でプログラム言語のコードを自動作成するのに活用。博報堂は複数の生成AI同士が議論し、意思決定やアイデア創出をするサービスを開発した。商品企画の利用を想定している。
著作権侵害リスクも
一方で、生成AIの事実誤認や情報漏えい、著作権侵害などのリスクを懸念する声もある。流通大手の担当者も「AIが間違った情報を拡散する可能性があり、社外の活用は慎重にならざるを得ない」と話す。
PwCコンサルティングの三善心平執行役員はは「事実誤認の可能性を認識した上で、リスクがあるから業務に使わないというのではなく、利用者への啓発やリスク回避の仕組みを作ることが大事だ」と指摘する。(黄金崎元)
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