インバウンド(訪日客)急増でにぎわう京都の玄関口、JR京都駅付近で外資系ホテルの進出が本格化し始めた。鉄道会社系を中心に国内勢の宿が駅近を占めていたが、閉館後のホテルをブランド変更して米ホテル大手のヒルトンが3月に開業。さらに米マリオット・インターナショナルが出店を計画するなど、外資の存在感が高まりつつある。
ヒルトンは今月15日、京都市内で4軒目の運営施設となる「ダブルツリーbyヒルトン京都駅」(京都市南区)の開業記念式典を開催。
脇田裕美総支配人は「京都の観光、ビジネス、買い物に便利なJR京都駅に近い魅力的な場所にあり、地域特色を生かしたホテルとしたい。温かみのあるサービスを提供しつつ、国内外の観光客から地元住民まで幅広く愛されるホテルを目指す」と述べた。
「ダブルツリーbyヒルトン京都駅」は、昨年5月に閉館した大和ハウス工業傘下の「ダイワロイネットホテル京都グランデ」からブランド変更し、今年3月に開業した。場所はJR京都駅の南側にあたる八条口から徒歩約5分の好立地。「ダブルツリー」となった4月現在の客室料金は1泊1室3万円強で推移し、4万円を超す日も少なくない。「周辺にある国内勢の高級ホテル水準の強気な値付け」(業界関係者)だ。
大和ハウス側は平成30年6月に開業した前身のホテルを旗艦施設と位置付け、訪日需要を取り込む狙いだったが、新型コロナウイルス禍を受け、5年ほどで自社運営を終了。所有会社としてヒルトンに運営を任せることになった。
ヒルトンのジョセフ・カイララ日本・韓国・ミクロネシア地区代表は「22ブランドを持つわが社は、オーナー(ホテル所有会社)にどのブランドが良いか提案し、すぐに運営できる強みがある」と話す。
京都駅は買い物や観光名所へ行く上での京都の〝入り口〟で、訪日需要などを取り込みやすい。重要な戦略拠点として、外資勢も注目している。
京都駅南側には平成25年、仏アコーのビジネスホテル「イビススタイルズ京都ステーション」(同市南区)が進出。また、米マリオット・インターナショナルが、国内系のホテル跡地に「コートヤード・バイ・マリオット京都駅」(同)を令和8年度に開業する。京都における外資勢の進出は観光名所の多い東山区や中京区が中心だったが、今後は既存ホテルのブランド変更などにより南区にも広がりそうだ。(田村慶子)
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