理想の年収と現実のギャップは200万円超――。20代正社員を対象にした民間調査で、こんな結果が明らかになった。経済的な理由を背景に、将来的に子供を「持たない」「持てない」とする回答も目立った。
調査は就職情報サイトを運営するマイナビ(東京都千代田区)が2023年11月にインターネットで実施し、20代の正社員男女585人の回答をまとめた。
「理想の年収」を聞くと、平均589万7000円。これに対して「現在の年収」は平均364万9000円で、224万8000円の乖離(かいり)があった。
また、子供がいない人に「子供が欲しいか」と聞いたところ、「欲しい」との回答は「今すぐにでも」(8・4%)、「仕事などまわりの環境が落ち着いたら」(18・2%)、「漫然といつか」(37・0%)で計63・6%だった。一方、「欲しくない」との回答は「どちらかというと」(15・1%)、「どんなことがあっても」(10・4%)の計25・5%で、4人に1人が子供を持つことに消極的である実態が浮かんだ。
「欲しくない」理由を自由回答で尋ねると、「子供を育てられる財力などがない」「物価高のなか、自分のことで精いっぱいで育てる責任が持てない」などと、金銭面の不安を挙げる声が多数を占めた。
調査に当たったマイナビ担当者は「終身雇用や年功序列といった日本型雇用システムの衰退により、昇給が不確実になったことが影響している」と分析する。ただ雇用システムは変革期にあり、今後は若年層の生産性に見合った給与を支払う企業の増加が予想されるとして、「企業は賃金の調整に加え、リスキリング(学び直し)やキャリア支援を積極的に提供することが求められる」と指摘。若年層がスキルアップを通じて理想を実現し、仕事も私生活も充実できるよう支援が必要だとしている。【嶋田夕子】
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