「配管くんⅠ型」=弘栄ドリームワークス提供

 山形市内の企業が、配管内を点検するパイプ探査ロボットのサブスクリプション(定額利用)サービスを始めた。地中や壁の中を通る配管は、気づかないうちに劣化が進んでいるケースが多い。ロボットを使って内部を「見える化」し、老朽化などによる事故を防ぐ一手となるか。

 ロボットの名前は「配管くん」。設備工事業を営む弘栄ドリームワークスが、山形大や立命館大の技術協力を受けて開発した。5月に始まったサブスクサービスは、同業の設備工事業者に提供している。機器のレンタルに加え、営業や運用も支援している。

 排水管などに使われる直径10~15センチの管に対応する「配管くんⅠ型」は全長58センチ。3カ所の屈折可動部と3対のタイヤ、前後にセンサーを備える。複雑に曲がっている配管でも、タイヤや可動部の向きを変えながら自在に走行できる。配管の継ぎ手となるL字やT字部分を自走できるのは世界でも初の技術という。

 内蔵するカメラで配管内部をリアルタイムで確認しながら故障や施工不備、老朽化をチェック。配管図を所有者が紛失していたり、更新されていなかったりするケースも多い。配管くんはマッピング機能を搭載しており、通った場所を自動で記録し、専用アプリで確認できる。

 配管の寿命は素材によって異なり、短いものだと十数年。確認するには従来だと掘り起こす必要があり、詳しい検査に至らずに、全体を交換する大がかりな工事になるケースも珍しくない。

 配管くんを利用すれば、不具合箇所を特定し、交換範囲を最小限にとどめられるため、費用や工期を抑えられる。現在は排水管での利用がほとんどだが、水道管への利用も技術的に可能という。

 サブスクの料金は税込みで月額11万円。別途入会金33万円と月会費2万2000円が必要になる。

 弘栄ドリームワークスは、建設設備業界が大手ゼネコンの下請けで成り立っている構造を問題視しており、担当者は「革新的な技術を同業者にも使ってもらうことで、業界全体を盛り上げたい」と話す。【嶋田夕子】

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