写真はイメージ=ゲッティ

 15日の外国為替市場の円相場は一時1ドル=154円近くまで下落した。1990年6月以来約34年ぶりの安値となり、さらに円安が進んだ。中東情勢の緊迫化で原油高が懸念されて米国の利下げ観測が後退した。一段の円安・ドル高進行を受け、市場には政府・日銀による円買い・ドル売り介入への警戒感が高まっている。

 東京市場の午後5時時点は、前週末の12日と比べ66銭円安・ドル高の1ドル=153円90~91銭となり、154円台に迫った。

 13日夜から14日にかけ、イランがイスラエルへの大規模攻撃を実施。市場では中東情勢が悪化するとの見方が強まり、原油価格の上昇懸念が高まった。14日のニューヨーク原油先物相場では米国産標準油種(WTI)が上昇し、一時1バレル=86ドルに達した。米国の物価上昇(インフレ)が長期化して米連邦準備制度理事会(FRB)が早期に利下げするとの観測が後退し、ドル買い・円売りの動きが加速した。

 みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストは「将来的に原油価格が上がってインフレ圧力が高まり、(米国の)利下げ期待がさらに後退していくとの予測が高まる可能性もある」と分析する。一方で「市場関係者の間でも中東情勢の見方にはバラツキがあり、ドル円相場に与える影響への解釈が難しくなっている」と指摘した。【竹地広憲、成澤隼人】

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