廃棄される果実を使用した「氷結mottainai 浜なし」=15日、東京都渋谷区(村田幸子撮影)

規格外のブランド梨をおいしく飲み干すー。キリンビールは15日、主力の缶酎ハイ「氷結(ひょうけつ)」シリーズとして、食品ロス削減などを目的とした「氷結mottainai 浜なし」を5月7日から期間限定で発売すると発表した。規格外として廃棄される横浜のブランド梨「浜なし」を活用。果汁が豊富で、甘くみずみずしい果実感を生かしながら、酎ハイの爽やかさを楽しめるように仕上げた。

キリンは、規格外として破棄される果実を「モッタイナイ果実」と位置づけ、商品に使うことで食品ロスの削減を目指すプロジェクトを始める。売り上げに応じた寄付も行い、果実農家を継続的に支援する方針だ。規格外という理由だけで破棄される果実に着目し、令和9年までには、「モッタイナイ果実」を合わせて年間150トン削減することが目標だ。

「浜なし」はプロジェクトの第一弾となる。樹上で十分完熟させることで糖度の高い梨ができることで知られるが、蜜が多く柔らかくなりすぎ、シャキシャキ感が失われて生食用に向かない「みつ症」と呼ばれる状態になりやすい課題も抱えている。市場に出荷できない、規格外果実が多いことが難点だ。

キリンは「氷結mottainai」を通じ、約2・2万個分の浜なしのロス削減を目指す。

新商品の販売目標は約18万ケース(1ケース=350ミリリットル缶24本換算)で、350ミリリットル缶の想定価格は税込み179円。従来の氷結シリーズよりも高くなる見通しだが、社会問題に関心の高い若年層をターゲットに、販路の拡大を目指す。価格が安く、栓を開けてすぐに飲める「RTD」(レディー・トゥー・ドリンク)市場でシェアを拡大する狙いもある。RTD市場に「社会貢献のできる缶酎ハイ」という、既製品と商品価値を分けて売り出す考えだ。

サワーや缶酎ハイなどの「RTD」市場は、令和8年の酒税改正まで現行の税率が維持される。市場のさらなる拡大が見込まれるだけに、飲料各社がしのぎを削っている。(村田幸子)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。