経済波及効果を算出した加藤准教授(左)と同研究室の学生=山口市で2024年5月9日午前9時30分、福原英信撮影

 米有力紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)の「2024年に行くべき52カ所」に山口市が選ばれたことを巡り、山口大経済学部の加藤真也准教授(観光経済学)の研究室は県内への経済効果が89億9000万円に上るとの推計を発表した。【福原英信】

 同研究室の学生12人が調査した。23年の「52カ所」に選出された盛岡市への聞き取り調査▽世界の観光地のデータ収集▽国宝の五重塔がある瑠璃光寺や湯田温泉の観光回遊拠点施設「狐の足あと」での観光客への消費アンケート――などを取りまとめ、推計を公表した。

 NYT掲載の影響で、山口市の24年の観光客数は前年より約91万4800人増え、約484万7000人になると推定。うち訪日外国人は約5万5600人増の約10万7500人と見込んだ。また、同市の観光客による県全体への経済効果の内訳は、日本人宿泊客40億8900万円▽日本人日帰り旅行客31億1600万円▽訪日外国人客17億8700万円――とした。

 盛岡市への聞き取り調査などを担当した同研究室所属の2年、天畠菜々美さんは「盛岡市で欧米系の観光客が増加したという現象は、自分がアルバイトをしている湯田温泉の観光施設での実感に合っている。『観光客が倍くらいに増加した』という体感を、数値で示せてうれしかった」。加藤准教授は「外国語への対応を進めるなどして、観光客増加の維持につなげてほしい」と期待を込めた。

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