職人の高齢化などで人材不足が懸念される建設業界。
ハウスメーカー自らで若い職人を確保し、育成する取り組みが行われています。


■前年度の3倍の訓練生を採用

8日、滋賀県栗東市で行われたのは、積水ハウス建設グループで住宅づくりの職人を目指す社員の訓練センターへの入所式。

ファッションブランドのビームスが制作した黒と紺のユニフォームに身を包み、真剣な表情で式にのぞみました。

【訓練生代表 川原紗弥さん】「一生懸命、訓練に励みます」

今年度積水ハウス建設グループが採用した職人の訓練生は、前年度の約3倍にのぼる134人。

これだけの数を自社で採用した理由は、職人の高齢化です。

野村総合研究所の推計では、2020年に82万人いた住宅を作る職人が、2040年には51万人まで減少すると見込まれています。

今後、地域の工務店の職人が減少し、住宅の需要に対応できなくなることが懸念されるため、自ら職人の育成をしようというのです。

■「職人」のイメージを払拭するため名称の変更や待遇改善 普通科出身、女性も積極的に採用

これまで「きつい」などと言われていたイメージを払拭するため、職人の名称を「技能工」などから「クラフター」というスタイリッシュな呼び方に。

さらに、現場をまとめるポジションの30代での年収を約900万円にするなど、待遇改善も行いました。
(※以前は約500万円)

また採用の範囲を拡大し、工業高校などだけでなく、普通科の高校や女性も積極的に採用しました。


【訓練生 松原慶大さん(高校普通科卒)】「普通科なので、ゼロの知識とか技術なので、訓練校に魅力があるなと思った」

【訓練生 増田幸奈さん】「中学の頃から、家づくりをしたいという気持ちが、何よりも強かったです。力仕事の面で心配なんですけど、手伝ってもらいながら、技術をしっかり磨いていきたいと思います」


■未経験でもゼロから学べるようカリキュラムで体系的に技術を学ぶ

訓練校では未経験でもゼロから学べるよう、現場に出る前に最大半年、基礎工事や内装などを実践的に学びます。

「親方の背中を見て学ぶ」のではなく、カリキュラムで体系立てて技術を学ぶ、イマドキスタイルで職人を目指す若者を増やす戦略です。

【積水ハウス建設ホールディングス 大村泰志代表取締役社長】「組織的にきちっと育成していきながら、長い間この仕事を続けていただきたいという思いで、育成を強化したい」

【訓練生 森田颯斗さん(工業高校出身)】「一生使っていくような知識を、ここで身に着けられるので、しっかりと覚えていきたい」

各業界で人材不足が叫ばれる中、時代に合わせた採用と育成の方法が求められます。

(関西テレビ「newsランナー」2024年5月8日放送)

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