家計の味方、モヤシの購入量が減少している。世帯あたりの年間平均購入量は、ピークの2010年には約7・3キロだったが、23年は2割ほど少ない約5・9キロに減少し、今年も昨年並みの水準になりそうだ。物価上昇(インフレ)が続く中、むしろ人気が高まっていいはずのモヤシ。なにが起きているのか。
データは、2人以上の世帯のモヤシ購入量について、総務省の家計調査をもとに、工業組合もやし生産者協会が集計した。
モヤシ人気が急上昇したのは、08年のリーマン・ショック後。世界を覆った深刻な不況を受け、食費を節約する便利な「かさ増し食材」として重宝されたのだ。
世帯あたりの平均購入量は、それ以前の年間5キロ台から7キロ台へと跳ね上がった。その後は徐々に減少しながらも、新型コロナウイルス禍が発生した20年には再び増加するなど、「スーパーで一番安く買える野菜」であるモヤシは、ずっと家計の味方だった。
ところが、22年以降に本格化した今回のインフレでは、モヤシの購入量は減少傾向が続いている。
原因の一つとして考えられるのは、他の食品と同じくモヤシも値段が上がったこと。帝国データバンクの集計では、1袋(200グラム)35円程度に販売価格が上昇している。公正取引委員会が小売事業者に警告を発したこともあって、かつてのような過度な値引き販売が影を潜めた影響もありそうだ。【後藤豪】
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