合意書を取り交わし写真撮影に応じる(左から)国民民主党の榛葉賀津也幹事長、自民党の森山裕幹事長、公明党の西田実仁幹事長=国会内で2024年12月11日午後4時18分、平田明浩撮影

 自民党の坂本哲志国対委員長は11日、立憲民主党の笠浩史国対委員長と国会内で会談し、2024年度補正予算案について、立憲の修正要求を一部反映した修正案を自民、公明両党が提出することで合意した。24年度当初予算の予備費から1000億円を能登半島地震の被災地の復旧・復興に充てる内容。これを受けて立憲は修正案に賛成すると表明した。12日の衆院予算委員会と本会議で賛成多数で可決され、衆院を通過する見通しとなった。

 衆院で過半数を持たない「少数与党」となった石破政権にとって、予算案の採決は最初のハードルだった。与党が野党の修正要求を反映する異例の対応を取ることで、野党から一定の支持を得られた格好となった。

 衆院事務局によると、一般会計の予算案を減額するなどした修正は戦後4例ある。直近では、橋本龍太郎内閣の1996年の「住専国会」で、住宅金融専門会社(住専)処理の財政支出6850億円を事実上「凍結」する修正を予算総則に加えたケースがある。

 立憲はこれまで補正予算案について「規模ありきだ」(野田佳彦代表)、「復興予算が足りない」(重徳和彦政調会長)と批判してきた。11日午前には、歳出総額を約13兆9000億円から約12兆5000億円に減額する修正案を衆院に提出。立憲の修正案では、情報通信システムの基盤強化や宇宙戦略など25基金への支出は、緊急性に欠くとして約1兆3600億円を減額し、予備費のうち1000億円は能登地域の復旧・復興に充てるとしていた。

 立憲が求めた基金の減額は反映されなかったが、一定の譲歩を得られたため、笠氏は会談後、記者団に「28年ぶりに予算案の修正を勝ち得た。与野党が逆転した結果、一つの成果としてしっかりとアピールしていきたい」と語った。

国民民主も「103万円の壁」合意

 また、与党は立憲との交渉と並行し、国民民主の賛成を取り付けるため、同党と「年収103万円の壁」引き上げなどの協議を進めてきた。自公国3党の幹事長は11日、「壁」引き上げについて「178万円を目指して、来年から引き上げる」とし、ガソリン税に上乗せされている暫定税率も「廃止する」ことで合意した。これを受け、国民民主の榛葉賀津也幹事長は会談で、補正予算の政府原案への賛成を表明した。政府原案と修正案の双方が可決される見通しだが、参院では修正が反映された予算案が審議される。

 3党の合意書に暫定税率廃止の時期は記されていないが、地方税分を含めて年約1・5兆円の税収減となる。元々時限措置だったが、2011年に起きた東日本大震災の復興財源を確保するため自公は廃止に慎重で、廃止されれば減収の穴埋め策が必要になる。【田中裕之、森口沙織、池田直】

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