米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は4日、米紙ニューヨーク・タイムズ主催のイベントに出席し、「米経済は想定以上に力強い」と明言した。雇用悪化に備え9月会合で始めた利下げのペースについて、柔軟に判断できるとの考えを示した。
パウエル氏は「米経済は極めて好調で、(利下げを始めた)9月に考えていたよりも強い。労働市場も想定より強く、インフレ率が少し上がってきているほどだ」と説明。「良い知らせだ。適切な金利水準を探るに当たり、もう少し慎重になる余裕ができた」と述べ、9月から2会合連続で実施した利下げペースについて、今後はより柔軟に決められるとの考えを示した。
パウエル氏の発言を受け、市場では「FRBが次回12月会合で0・25%の追加利下げをし、来年は利下げペースを落とす」との見方が強まった。
一方、パウエル氏はトランプ次期政権で財務長官に指名されたベッセント氏について「よくは知らない。だが、これまで(の財務長官)と同様の関係を築けると確信している」と述べ、緊密に連携をとる考えを示した。
トランプ氏は前政権時代、自らの意に沿わないパウエル氏の更迭を検討した。大統領選でトランプ氏の経済アドバイザーを務めたベッセント氏は、次期議長をトランプ氏が前倒しで指名することで、現議長のパウエル氏の発言力を弱めるアイデアを披露したことがある。【ワシントン大久保渉】
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