理想の上司は「調和型」――。人材育成のリクルートマネジメントソリューションズ(MS)が会社員を対象に実施したリーダーシップに関する調査で、理想の上司は「調和型リーダー」だとする回答が最多の約3割を占めた。同社は「周囲と協力し合い、変革を起こすよりは現状を維持し、適宜改善していく上司を理想とする人が多い。部下の視点で見ると自分のペースで働けるため安心できるのでは」と分析している。
調査は9月19~30日、従業員50人以上の企業で働く25~59歳の正社員を対象にインターネットで行い、7405人から有効回答を得た。回答者の年代は、20代11・8%、30代28・7%、40代30・6%、50代29・0%。性別は、男性53・7%、女性45・6%。
リーダーシップのタイプを、①集団との関わり方は「協力し合う」(調整)か「自分が引っ張る」(統率)か②課題に対する姿勢は「守る・磨く」(維持)か「攻める・広げる」(変革)か③判断のよりどころは「気持ち」(心情)か「ロジック」(理性)か――の組み合わせで計八つに分類し、直属の上司の実態や理想像などを尋ねた。
実態で最も多かったのは、調整・維持・心情の性質を持ち「おおらかにチームを包み込む調和型」(31・4%)。次いで調整・維持・理性から「手堅い守りが強みの安定型」(21・6%)だった。理想像についても同じ傾向で、「調和型」(29・8%)、「安定型」(26・7%)の順だった。
ただ、3番目に多い回答は割れた。実態については統率・変革・理性から「未開の地へ切り込む開拓型」(12・0%)。これに対して、理想像は調整・変革・理性の性質から「全体を俯瞰(ふかん)してまとめる民主型」(15・1%)だった。
こうしたリーダーシップの違いは、職場にどのような影響をもたらすのか。
上司のタイプ別に、回答者の上司に対する信頼感を6点満点で評価したところ、「民主型」が4・32点でトップ。これに調整・変革・心情の性質を持ち「チームの力を引き出す共創型」(4・22点)や「安定型」(4・14点)が続いた。
協力し合って集団と関わるタイプの上司ほど部下の信頼が厚い傾向にあるといい、リクルートMSの担当者は「部下を大切に思う姿勢が評価されている。部下にとっても働く意欲が高まる」としている。
同じく上司のタイプ別に回答者の昇進意欲を評価すると、「共創型」(3・80点)のほか、統率・変革・心情の性質から「一丸となって立ち向かう情熱型」(3・65点)や「民主型」(3・62点)が高かった。
近年、管理職への昇進をためらう若手社員の増加も指摘されているが、「リーダーとして育成したい若手をこうした上司のもとに配属すると有効である可能性もある」(リクルートMS)という。【嶋田夕子】
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