島根県松江市のソウルフード「カツライス」をご存じでしょうか?
揚げたてのトンカツをご飯にのせ、デミグラスソースをかけた料理で、市内では多くの飲食店で味わうことができます。
90年以上続くこの松江の味をもっと知ってもらおうと活動する男性がいます。

「松江のカツライスは、昭和7年にあったんだということが、分かってきた」

松江農林高校の生徒を前に、こう語るのは松江カツライス研究会の代表、河合賢治さんです。
この日は、松江の食文化を学ぶ生徒たちにカツライスの歴史や、その魅力を教えました。

松江カツライス研究会 河合賢治 代表
「(隣県の)境港と米子に関しては、松江のカツライスが波及していったものの可能性が高いという風に考えています。」

そんな河合さんがつくった「松江カツライス研究会」。
なぜ、カツライスを広める活動をしているのか聞くと。

松江カツライス研究会 河合賢治 代表
「知っちゃったから」

河合さんは、大阪府の出身。
35年前に松江市に移住し、カツライスに出会ったといいますが、その職業は、獣医師。
カツライスとは全く無縁の仕事です。

松江カツライス研究会 河合賢治 代表
「松江の人にとって当たり前だったら、目にも止まらない。だけども知らない人が来て『なんじゃいな、これ』となってくると、興味を持ってくる。」
「調べていくと調べていくだけ、おもしろい要素、『地域限定』だったり、結構、古い時代からあることが分かってきた」

そんな河合さんの研究の結果、松江カツライス発祥の店だと分かったのが、昭和7年創業の老舗レストラン、「西洋軒」です。

西洋軒 林武志さん
「オープンした時から、多分、あるであろうということで、(カツライスは)昭和7年から、メニューに載ってたんではないか、という話」

神戸で修業していた西洋軒の初代店主が、カツライスを松江に持ち帰り、そこから、カツライスは松江市内に広がったと考えられています。

西洋軒のカツライス、時代に沿って、少しずつ変化していますが、味の根本は、創業当時から変わらないということです。

松江カツライス研究会 河合賢治 代表
「(カツライスを味わって)やっぱり、デミグラスソースの味が深いですね。特別な、デミグラスソースだと思います」

西洋軒 林武志さん
「5,6年前に河合さんが訪ねて来られて、『カツライスの研究をしてるんだ』と言われるところから始まって」
「観光客の方もかなり来ていただくようになったんで、河合さんの研究には感謝しています」

河合さんが魅せられた松江の食文化「カツライス」。
それを、次の世代に残したいというが河合さんの願いです。
松江農林高校の生徒らにも、その思いを伝えました。

「カツライスがある店に行って、インスタに撮って投稿してみてください」
「若い人たちの中にも認識をが広がってくる、これが重要だと思います」

もちろん、知識を伝えるだけでなく、試食もしてもらい、しっかり、その味も伝えました。

生徒
「デミグラスソースとカツの相性が良くて、とても美味しいです」
「今回のカツライスも、この授業をきっかけに知れたので、この食文化が広がっていけばいいなと思いました」

松江カツライス研究会 河合賢治 代表
「私が、これが文化であるということを知ってしまった以上は、やはり、それをちゃんと、この世に留めるというのは責務ではないかなと考えています」

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