自分のことを「地元で、よその飲食店の代表や店長よりも有名だ」

中国地方の、とある飲食街。
飲食店を経営する社長の男は、自分のことを「地元で、よその飲食店の代表や店長よりも有名だ」と言った。この社長の男が、地元でも名の知れた飲食店内で起きた、従業員女性に対する強制わいせつ罪に問われた。社長の男は、逮捕当初、容疑を否認し、黙秘を続けていたという。

起訴状によると、この社長の男は2024年、自身が経営する飲食店が閉店した後に、従業員女性(20代)の唇にキスをし、胸を触るなどの不同意わいせつの罪に問われている。
10月に裁判所であった初公判。男は刑務官に連れられ、黒いTシャツで入廷した。
男はどことなくやつれ、自信や迫力がないように感じられた。裁判の冒頭、裁判官から「起訴内容に間違いはないか」という問いに「間違いありません」と答えた。
検察の冒頭陳述などで、犯行の様子が明らかになった。

「最後までしないから」客が帰ると、社長の男は女性を誘い…

検察の冒頭陳述などで、犯行の様子が明らかになった。

男は犯行現場となった飲食店を経営しているが、店の営業時間は通常、午後10時までだ。事件のあった日は、知人からの依頼で午後10時以降に団体客を受け入れ、被害にあった従業員の女性と2人で接客をしていた。

客が帰ると、社長の男は女性を誘い、酒を飲みはじめた

しばらくして店のセキュリティーを操作しようと立ったところで、社長の男はいきなり女性の肩に両手をかけてキスをし、「最後までしないから」と言って下着に手を入れ、胸を触るなどしたという。
社長の男が手を離した隙に女性は逃げだし、知人のいる飲食店で助けを求め、交際相手らが警察に通報した。

社長の男と女性との関係は、仕事以外の話はほとんどなく、好意もなかったという
その後女性は、仕事に行けなくなり退職。警察に「厳しい処罰を与え、しっかり償ってもらいたい」と話したという。
男は逮捕当時、容疑を否認し黙秘していたが、法廷では一転・起訴内容を認めた。
弁護人からこの理由を問われると「会社が大変なことになっていて、認めてしまうと、取引が止められ、自分たちの仕事関係全てが失われると思った。自分の保身のために、嘘をつきました」と話した。
留置所で面談に来た知人から「いつ社会復帰するか分からないが、あなたともう一度仕事をしたい」と言われて涙し、これをきっかけに「真実を話し、どのような刑罰が下っても知人や地域のために、社会復帰を1日でも早くしたい」と思うようになったのだという。

弁護人による被告人質問が行われた。

「被害者を“女性”と思い、性的欲求を晴らそうと」

Q.なぜそのようなことをした?
「一言で言うと、私の性の欲求を満たすためだった。それまで被害者には一度もそのようなことを思ったことがありませんでした。仕事が終わって、片付けの時に近くに女性が近くに来たとき、被害者を“女性”だと思い、性的な欲求をはらそうと思ってやった」

Q.キスをされ、被害者はどう思ったと思う?
「好きでもない相手に、まして社長という立場の人間にそのようなことをされ、恐怖と緊張でなにもできなかったのではないかと思います」

Q.事件後、被害女性との示談が遅れているが?
「示談をすると、自分の罪を認めるという認識で、示談は進めていないと思っている。ただ今はそのことを反省している」

Q.被害者との間は、100万円で示談が成立している。被害女性の示談書に、あなたを許すという言葉は一言も入っていないが?
「私も全てこれで解決できると思っていません。否認から認めるように転じてから、被害者への反省をしっかり考えた。妻が差し入れた性被害者の手記を読んで、長い間苦しみ、中には自死する人もいると知った」

Q.逮捕による会社への影響は?
「会社は社員が守ってくれ、回っているが、かなりキャンセルがあったと聞いている。また聞くところによると、子供の写真がインターネット上でさらされていると聞いている。全て私が起こした誤りのせいだ」

Q.もし自分の娘が同じことをされたらどう思う?
「反対の立場で親として考えると・・・言葉にならない怒りだと思う」

Q.あなたはこれまで金儲けばかり考えていたと思うが、これからどういったことで社会貢献する?
「これまでは子供や地域への社会貢献だった。全国で活動する性犯罪の団体に連絡をとり、このような犯罪が2度と起こらないようようにしたい。時が許せば地域の活動もしたい」

性欲を満たす目的でした行為で、動機に酌量の余地はない

続いて検察官が聞いた。

Q.事件の翌日、女性は出勤しなかったが?
「当然私しか、このことは知らない。翌日、交際相手から私に連絡があった。犯行を認めると大変なことになると思ったので、交際相手にも認めなかった」

Q.当時、女性が「怖くて出勤できない」と言っていたが
「もちろんそういう認識はしていた。女性が店に夜遅くまで残っていて、交際相手から電話があったことは数名が知っていたので、遅くまで残したことを交際相手が怒って出勤できなくなったと嘘をついた」

Q.被害者にはどう思うか?
「被害者は、言えば答えてくれるし、後輩の面倒見もいい、仕事ができる人だった。本当に申し訳なく思う」

検察は論告で、業務終了後2人きりになると酒を飲むように仕向け、性欲を満たす目的でした行為で、動機に酌量の余地はない。被害者は翌日から出勤できず、今でも急に泣き出すなど、被害者に残した心の傷は大きいなどとして、懲役2年を求刑。

一方弁護側は、同種事案と比べると犯行態様は弱く、衝動的なもので計画的ではない。社会的な制裁も受けているなどとして、懲役1年2か月・執行猶予3年が相当だと主張した。

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