宮城県内で、今年、カメムシが大量発生し、街中でも多く見かけました。このカメムシはいったいどこからやってきたのか?そして、越冬するのでしょうか?

街中で大量のカメムシ

照明の下を飛び回る黒い物体。

この黒い物体の正体はカメムシ。刺激すると、異臭を放つことで知られるカメムシが10月、仙台市の街中で多く見られました。

マンションに住む人:
「きょう家を出たときに5、6匹(カメムシが)いるのを見た」
高校生:
「(学校で)掃除しているときにカメムシがいっぱいいた(Q.何匹くらい)30匹くらいいっぱい出ていて。汚いというか気持ち悪かった」

害虫による農作物被害への対策を行う県の担当者は…。

宮城県病害虫防除所 我妻因信技術主幹

宮城県病害虫防除所 我妻因信技術主幹:
「エサを求めて飛び回っているところを見かけたのではないか」

このカメムシの大量発生に驚きを隠せない人がいます。

専門家も驚いた大量発生、そのワケは…

農研機構植物防疫研究部門 新井朋徳グループ長:
「(ツヤアオカメムシが東北地方に)これほど発生したのは、初めてではないか。正直、非常に驚いている」

国の研究機関である農研機構の植物防疫研究部門・新井朋徳グループ長によりますと、カメムシは、大きく分けて3種類います。

全身が茶色の「クサギカメムシ」。
体は緑色で翅(はね)が茶色の「チャバネアオカメムシ」。
そして、体が緑色で光沢のある「ツヤアオカメムシ」。この「ツヤアオカメムシ」こそが今年、大量発生しているカメムシです。

ツヤアオカメムシ、実は東北にいなかった?

「クサギカメムシ」や「チャバネアオカメムシ」は比較的寒さに強く東北地方にも生息しているのに対し、「ツヤアオカメムシ」は本来、主に、九州や四国に多く生息しているとされています。

農研機構植物防疫研究部門 新井朋徳グループ長:
「(ツヤアオカメムシは)冬の間も常緑樹に生息していて、そこの木の中で越冬し、冬の間も汁を吸いながら冬を越している。もしかすると、そういう場所を探し求めて飛来しているうちに、街中の明かりに集まりたくさん来ているのかもしれない」

では、なぜ東北地方で南に生息する緑色のカメムシが、大量発生しているのでしょうか。

地球温暖化の影響が…

農研機構の新井さんは、近年の温暖化などにより関東地方でも生息できるようになった「ツヤアオカメムシ」が、東北にも飛来してきたのではと推測します。

これから本格的な冬を迎える東北、緑色のカメムシはどうなるのでしょうか?

農研機構植物防疫研究部門 新井朋徳グループ長:
「(越冬場所を)求めてしばらくの間飛び回る可能性はあると思います。温度が低くなるとカメムシも飛び回る力も落ちてくると思います」

新井さんは東北地方は常緑樹が少なく飛来した「ツヤアオカメムシ」の多くは越冬できないのではと予測しています。

カメムシの大量発生の原因は、まだ、はっきりしないことが多いのですが、県病害虫防除所の我妻因信技術主幹によりますと、東北地方で「ツヤアオカメムシ」が大量発生した理由について「台風など風に乗って飛んできた可能性もある」ということです。

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