「南海トラフ地震臨時情報」を発表するしくみについて、先月、新潟市で開かれた地震学会で、一部の研究者から「科学的根拠に乏しく、制度設計に不備がある」などの指摘が出たことについて、南海トラフ地震評価検討会の平田直会長は、「特段修正する必要はない」との考えを述べました。

今年8月8日、日向灘で発生したマグニチュード7.1の地震をきっかけに初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報」のしくみについて、先月、新潟市で開かれた地震学会では、一部の研究者から「科学的根拠に乏しく、制度設計に不備がある」などの指摘が出ていました。

こうした指摘について、南海トラフ地震評価検討会の平田直会長は、きょう行われた定例の記者会見で、「現在、私達が採用している科学的な知見、考え方と違う意見が地震学会でいろいろと発表されること自体は健全な姿だ」とした上で、次のように述べました。

南海トラフ地震評価検討会 平田直 会長
「2017年や2019年に、地震の発生に関する知見を持った研究者が議論した結果として確立された方法なので、それにもとづいて今やっているので、地震学会でいろんなご意見があったということについては存じ上げていますけれども、特段修正する必要はないと今のところは思っております」

さらに気象庁も、現在のやり方を継続する考えを示しました。

気象庁地震火山部 地震火山技術・調査課 束田進也 課長
「(我々は)決められた基準で、その状況に変化がないかを24時間365日監視して、それで何かおかしなことがないかを感じている立場であり、その大枠が議論された結果が今なので、これを今は継続するということだと考えております」

地震学会では、日向灘を南海トラフ地震の想定震源域とすることが妥当かどうかを疑問視する見方も出ました。

これについて平田会長は、1941年11月に日向灘を震源とするマグニチュード7.2の地震が起き、その後、1944年に「昭和東南海地震」が、1946年に「昭和南海地震」が発生した例を挙げ、「(間隔は)1週間や2週間、数か月ではないかもしれないが、日向灘で地震が起きた後に(南海トラフ地震が)起きたことは過去にあるので、決して関係ない領域だとは思っていない」と述べました。

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