ピンク色の包装紙に描かれたのは、優しそうな象。
こちらが古本をリサイクルして作った…トイレットペーパーです。
その名も「象と花の本からできたトイレットペーパー」。
手がけたのは、盛岡市を拠点にインターネットで古本を販売する古書店、「盛岡書房」です。
盛岡書房は3年前から読まれなくなった本の寄付を募り、その本を販売した売り上げで新たな本を購入。
病院の小児病棟や学校図書館などに寄付してきましたが、高舘美保子社長にはある悩みがあったといいます。
(盛岡書房 高舘美保子社長)
「頂戴した本の中にはどうしても廃棄しなければならないような本があって、ずっとそれが忍びないと思っていた。なんとかその本ももう一回活用できないかと」
古本をリサイクルしてつくったトイレットペーパーを販売して目指すのが、末期がんや難病の子どもたちの苦痛を和らげ家族と過ごす時間を確保する「こどもホスピス」の設立です。
売り上げは、岩手県内での「こどもホスピス」の設立を目指す盛岡市の工藤裕之さん、美穂さん夫婦の活動支援に生かされます。
(工藤美穂さん)
「何かその子が叶えたいこと、家族とやりたかったことができる場所があることで、その子の生きる希望になると思います」
工藤さん夫婦はおととし、息子の丈くん4歳を心臓の病で亡くしました。
生前の丈くんの入院生活を支えたものの一つが盛岡書房が病棟に贈った本でした。
(工藤美穂さん)
「いろいろな物語の本が外の世界に連れ出してくれるので、本に本当に入院生活を支えられていました」
(工藤裕之さん)
「今回のプロジェクトはすごくありがたいです」
(工藤美穂さん)
「(丈くんは)『いいじゃんいいじゃん』と言ってくれてるかもしれないね」
盛岡書房の高館社長も本がつないだ不思議な縁を感じています。
(盛岡書房 高舘美保子社長)
「できることをできる形で、未来の子どもたちに贈り物をしていこうということ。それを循環できればいい、本というコミュニケーションツールを使って」
「『こどもホスピス』の設立に向けた活動を支援するトイレットペーパーは1日に販売が始まっていて、盛岡書房の事業所で購入することができます」
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