男子バレーボールの人気が再燃しています。
パリオリンピックやネーションズリーグでは日本中がその活躍に湧きました。
一方、中学校の部活動では、少子化などにより男子バレーを廃部にする学校が増えていて地域のクラブチームが生徒の受け皿になってきました。
これまで、クラブチームは中体連の試合に参加できない、というデメリットもありましたが、福岡県では去年から中体連の大会に参加が認められ、今年は新人戦にも参加できるようになりました。
スポーツをする環境を子ども自らが選べる時代が始まりつつあります。
中学校に部活がない!クラブチームが受け皿に
RKB 馬場遼之介 記者
「午後9時すぎの小学校の体育館ですが、中を覗くと活気のある声が聞こえてきます」
福岡県太宰府市の小学校。夜の体育館で練習しているのは、「太宰府U14バレーボールクラブ」です。
太宰府市や福岡市などに住む男子中学生32人が所属しています。
今からおよそ30年前、代表の高田政樹さん(51)が、中学校にバレーボール部がない子供たちのために練習を始め、9年前に正式にクラブチームとなりました。
太宰府U14バレーボールクラブ 高田政樹 代表
「中学校にバレー部がなくて、どうしてもバレーボールを続けたい、という保護者と子どもの希望があって。高校での部活動に繋げられるように、練習だけでもという形でここで練習をし始めたのがきっかけですね」
男子バレー部がある中学校は3割未満
日本中学校体育連盟によるとバレーボール人気が高かった1977年には、全国のおよそ7割の中学校に男子バレー部がありました。
しかし、少子化などで廃部にする学校が増え去年は全国で3割未満でした。
99%と、ほぼすべての中学校にあった福岡県でも、37%と大幅に減少しています。
「クラブチームがなければほかの競技をしていたかも・・・」
太宰府U14バレーボールクラブに所属する柳原楓さん(中2)
「バレーしたくても部活がないので、ここで思いっきりできるのでそこがいいと思います」
楓さんの母・柳原良子さん
「この場所がなければ、ほかの場所を探すか、またはほかの競技に変えるかという選択肢だったかなと思うので、今このチームがあることでバレーボールを続けることはできているのかなと思います」
部活ではなくクラブチームを選んだ中学生も
学校にバレーボール部があってもクラブを選ぶ生徒もいます。
古賀颯和さん(中2)が通っている筑前町の夜須中学校では、今年度から教員の働き方改革のため部活動を平日3日と土日どちらか1日の週4日に制限しています。
古賀さんはもっと練習したいと、家族や顧問と話し合ってクラブに入ることを決めたそうです。
太宰府U14バレーボールクラブに所属する古賀颯和さん(中2)
「部活の顧問の先生から頑張って来いよって言われました」
夜須中学校・男子バレー部 阿波俊介 顧問
「彼の高校進学とかそういう夢を聞いた時に、夜須中学校でバレーをやるよりもよりレベルの高いクラブチームでプレーした方が間違いなく彼の上達、スキルアップにつながるなという思いで彼の夢を後押ししました」
参加できなかった中体連「羨ましそうに見ているしか・・・」
クラブチームである「太宰府U14」は、これまで中体連の大会に出場することはできませんでした。
太宰府U14バレーボールクラブ 高田政樹 代表
「クラブチームで活動する子どもたちは、友だちが中体連に出ているのを、上のギャラリーから応援する、羨ましそうに見ていることしかできなかったんです」
しかし去年、国が部活動の地域移行を進めたことに伴い、福岡県では軟式野球やサッカー、バレーボールなど19の種目でクラブチームが中体連の大会に参加できるようになりました。
太宰府U14バレーボールクラブに所属する古賀颯和さん(中2)
「自分も出たいなと思っていました。中体連の大会に出場できてうれしい」
颯和さんの母 古賀渚さん
「試合をさせてもらう中で、たくさん学ばせてもらってることがあって、とてもありがたいなと思っています」
太宰府U14バレーボールクラブ 高田政樹 代表
「やっぱりクラブチームで集まって中体連の試合に出られるっていうのは、同じ中学生なので価値があることじゃないかなと思います」
「違和感」感じる学校関係者も
ただ、長年、部活動に携わってきた学校関係者の中には複雑な思いを抱えている人もいます。
福岡県内の公立中学の校長で、筑紫区新人バレーボール大会の会長を務める平野善浩さんは、クラブチームの子どもたちが参加することについて「違和感がある」と話しました。
筑紫区新人バレーボール大会・会長 野善浩さん
「やっぱり最初は違和感はありますよね。『あれ、なんで学校の中にクラブチームが入ってくるのかな』っていう違和感はあるとは思います。慣れていくしかない。そういう受け皿やシステムができつつあるのはいいんじゃないかなと考えています。」
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