大分市の県道で3年前、時速194キロで車を運転し、対向車に衝突して男性を死亡させたとして危険運転致死罪に問われている当時19歳の男の裁判員裁判初公判が大分地裁で開かれ、危険運転について男は「そのようなことについてはわかりません」と述べ、弁護側が危険運転は成立しないと主張し、争う姿勢を示しました。
争点は「危険運転」か「過失運転」か
起訴状によりますと、2021年2月、大分市大在の県道で当時19歳の男(23)が時速194キロで車を運転して右折中の対向車に衝突し、小柳憲さん(当時50歳)が死亡しました。
大分地裁で5日から始まった裁判員裁判の初公判で、裁判長から危険運転について問われた被告の男は「そのようなことについてはわかりません」と述べました。このあと弁護側は、「制御困難な高速度に該当せず、妨害する目的もなく危険運転は成立しない」と主張しました。
裁判の争点は危険運転致死罪が適用されるかどうかで、弁護側は争う姿勢を示しました。争点や証拠を整理する公判前整理手続きはこれまで16回にのぼり、証人には検察側請求の4人と弁護側請求の2人が採用されました。
「何キロまで出るか試したかった」
2022年7月、大分地検は当初、男に対し最長で懲役20年となる危険運転致死罪の適用を見送り、懲役7年以下となる過失運転致死の罪で在宅起訴しました。
その後、小柳さんの遺族は危険運転致死罪への起訴内容の変更を求めて全国から集まったおよそ2万8000人分の署名を大分地検に提出しました。
2022年12月、大分地検は再度、現場などを調べた結果、危険運転致死罪の類型にあたる『進行を制御することが困難な速度で車を走行』『小柳さんの車の通行を妨害する目的で交差点に進入し車を著しく接近させた』と判断。より刑罰の重い危険運転致死罪に訴因変更しました。
また、捜査関係者によりますと、男は「何キロまで出るか試したかった」と供述しているということです。
全国では危険運転の罪が適用されないケースが相次いでいます。適用要件の明確な基準がないことから現在、法務省の有識者検討会が見直しの議論を進めています。
時速194キロでの死亡事故は、危険運転致死罪が適用されるのか――注目の判決は11月28日に言い渡されます。
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