衆院選で歴史的大敗となった自民党。公明党と合わせた議席も過半数を大きく割り込みました。「少数与党」となったことで何が変わるのでしょうか?手作り解説でお伝えします。

衆院選で自民党が歴史的大敗

今回の選挙で自民党の議席は191にとどまり、連立を組む公明党と合わせても過半数の233には届きません。

野党第一党の立憲民主党は148議席です。総理大臣は国会議員の選挙で選ばれますので、単純な数合わせでいけば、立憲民主に維新、国民民主、さらに、れいわ、共産、社民が加わると232となり、無所属の議員があと1人でも加わると過半数の233に達するので、野党側から総理大臣を出すことも、できなくはありません。

ただ、今回こうした連立の動きはありません。

自公は「少数与党」に

1回目の投票で誰も過半数に達しなければ、30年ぶりに決選投票にもつれ込みます。

自民・石破総裁と立憲・野田代表が残るとみられ、維新や国民が立憲に乗らなければ、石破さんが総理大臣に選ばれる見通しです。

自民・公明は議席が過半数に満たない「少数与党」となり、野党が一致すれば、いつでも不信任案が通る状況となってしまいます。

これによって、今までの「自民一強」の時代と比べ、法律や予算が成立する過程が大きく変わります。

「自民一強」時代は「集団的自衛権」「カジノ解禁」なども通ったが…

これまで、自公政権で政府与党が提出する法案や予算案は、まず自民党の部会や総務会などで議論してとりまとめ、国会に提出されてきました。

その後、委員会での採決を経て、衆院本会議での採決となりますが、自民党が単独過半数を握っていると、野党がどれだけ反対しようが対案を出そうが、多数決で自民党の通したい法案や予算案が通っていく状況でした。

「自民一強」時代には、こうして「集団的自衛権」や「カジノ解禁」などに関する世論を二分する法律がいくつも成立してきました。

最近では、裏金事件をきっかけに、自民党が提出した「政治資金規正法」の改正案も典型的な例でした。野党側は、使い道を明らかにしなくてよい「政策活動費の廃止」や「企業団体献金の禁止」などを提案していましたが、結局、野党案は反映されず、世論調査でも7割が「評価しない」自民党案が成立しました。

「少数与党」で何が変わる?

それが今後は、世論を反映した野党の意見も取り入れられやすくなりそうなんです。各党の主張と議席数を単純に当てはめてみますと、「政策活動費の廃止」については野党側が賛成多数ですし、石破総理も「実現を図るよう党に指示する」と言っていますので、法律を改正できる可能性が高まっています。一方で「企業・団体献金の禁止」については、国民民主党も慎重姿勢のため、すぐには難しそうです。また、自民党内の根強い反対論のために認められてこなかった「選択的夫婦別姓」についても、野党は「推進」の立場が多く、維新や自民党内の賛成派の動向次第では法律が成立する可能性が高まっています。

自民が”聖域”に野党を...

そして、自民党は今回、予算案の成立に向けて多数派を形成するため、”聖域”ともいわれる税制や予算に関する議論の場への扉を開き、国民民主党と協議することで合意しました。野党の主張も取り入れながら、政権運営をせざるを得ない状況が露わになっているのです。

(「サンデーモーニング」2024年11月3日放送より)

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