この夏の異常な猛暑は、いまだ様々な影響を及ぼしています。国連が定めた『SDGs=持続可能な開発目標』でもうたわれた、『気候変動への具体的対策』、それがいま、益々切実に求められています。

なぜ?11月に豪雨…東京では10月に桜が開花 

道路を埋め尽くす大量の車。
スペインで発生した異常な集中豪雨は、死者が200人を超えるなど被害が拡大。

スペイン・サンチェス首相
「国民の皆さん、わが国は今世紀最悪の嵐に見舞われました」

そして日本でも...

台風21号から変わった温帯低気圧の影響で、2日(土)に西日本から関東にかけて、記録的な大雨をもたらしました。こうした異常気象が、日本各地で相次いでいます。

いつもなら、10月頭には見られる富士山の初冠雪。
ところが今年はいまだ観測されず、統計開始以来、130年間で最も遅い記録を更新し続けています。

さらに、東京では春に咲くはずのソメイヨシノが、都内の公園で開花。

10月23日には、富山市・八尾で、30.9℃と観測史上最も遅い真夏日に。相次ぐ異変は、気候変動との関連もうかがわれます。

「秋の時期が短い」“四季”から“二季”へ

実際、今年は去年と並び、観測史上最も平均気温が高い夏に。
その一方で...

気象庁異常気象情報センター田中昌太郎所長
「12月以降はほぼ平年並みということで、秋の時期が短いというような…」

12月からは、冬らしい冬となるため、秋を感じる時間はごくわずか。暑さのあとに、ほとんど秋を感じる暇もなく迎える冬。“四季”から“二季”になったかのような状況です。

そして今年の異常な暑さは世界的にも見られ、平均気温は過去最高になる見通し。
また温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出量も2023年、過去最多だったといいます。

国連の報告書によれば、各国が対策を強化しなければ、今世紀中に平均気温の上昇幅が、最大3.1℃になるとしたのです。

国連 グテーレス事務総長
「現在の(各国の)政策は、今世紀末までに3.1℃という破滅的な気温上昇をもたらそうとしている。排出量の増加と頻発し激甚化する気候災害との間には直接的なつながりがある」

排出量削減のため3年前、日本政府は...

菅総理(当時)
「わが国は2030年度において、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指します」

当時の菅政権が、2030年度に46%削減の政府目標を掲げて世界にアピールしました。

では、実際はどうなっているのでしょうか。

温室効果ガス排出の推移を示したグラフです。最新のデータでは2013年からしばらくは減少傾向でしたが、気候変動問題に詳しい江守教授は…

江守正多教授 東京大学未来ビジョン研究センター
「再生可能エネルギー、特に太陽光発電が日本でも急激に増えて、それから原発がいくつか再稼働したことによって(この期間)順調に減っている。ただ太陽光発電が今、増加のペースが落ちていて、これまでと同じペースで(温室効果ガスを)減らしていくには、さらなる対策が必要」

実際、国連環境計画は、日本が掲げた46%削減が実現する可能性は低い、と警鐘を鳴らしています。そうした中-

気候変動…エネルギーの未来は

10月29日、東北電力は宮城県にある女川原子力発電所2号機の原子炉を起動。東日本大震災の発生後、被災地での原発再稼働は初めてのことです。

岸田政権(当時)が原発回帰に舵を切って以降、温室効果ガス削減を掲げ、原発増設さえ視野に入れた日本のエネルギー政策。

その一方で、日本は化石燃料関連への補助金額がG7の中でも特に高く、2022年で総額3100億ドルと、GDPの6%近くに達しています。こうした状況について、江守さんは...

江守正多教授・東京大学未来ビジョン研究センター
「再生可能エネルギーの主力電源化ということは、(国内で)温度差があるように見える。電気代やガソリン代が上がって困る人たちには手当が必要だとは思うが、気候変動対策には少なくとも逆行している。同じお金をもっと、化石燃料をベースにしたエネルギーとか産業から、エネルギーの消費を減らす方に、制度改革とか支援が本気で議論される必要がある」

一貫した姿勢を見せられない日本のエネルギー政策。もはや四季すら危うくなった日本の未来は、どこへ向かうのでしょうか。

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