11月に入り富山県内では冬本番に向けた準備が進む一方で、立山から冬の便りが届いていません。立山の初冠雪はいつなのか。現場、そして専門家を取材しました。

1日、高岡古城公園では冬の到来を前に木々を雪の重みから守る雪囲いの作業がはじまりました。

高岡古城公園管理事務所 放生稔 所長
「雪が多いという予想も出てますので、少しでも枝折れとかしないよう、この公園のなかの樹木が守れるようにこの作業を進めていきたいと思っています」

富山市の富山河川国道事務所では関係者が除雪車にエンジンをかけ、気を引き締めました。

富山河川国道事務所 佐藤保之 所長
「なかなか雪というのに関心が起きにくい状況なのは承知しておりますが、やはり雪が降りますと、雪の降りはじめが一番、危険な状況になりますので、早期のスノータイヤの装着や雪の備えについての意識の向上を図っていきたいという風に考えております」

着々と冬への準備が進む一方で、1日の富山市の最高気温は24.5℃と9月下旬並みの暖かさになりました。

富山駅前には半袖姿の人も――

半袖姿の男性
「一応、服は用意したんですけど、暑くて脱いでしまいました」
「(半袖で)大丈夫です。今は暖かいです。(いつもの11月と比べて?)あんまり実感ないですね」

立山に雪の気配はなく…

富山地方気象台の大江幸治さんが双眼鏡を向けた先は立山連峰。

富山地方気象台 大江幸治 気象情報官
「人間の目でみて山頂が白くなっていれば初冠雪となります。山は見えますけど、今は雪がないですね。今、雲がかかっている辺りが白ければ初冠雪なんですけどね」

気象台では立山の山頂付近に雪が積もっていないか毎日観測していて、雪が積もっていることを確認した場合「初冠雪」として発表します。

しかしことしは――

富山地方気象台 大江気象情報官
「立山はまだ1日までのところは初冠雪しておりません。平年が10月12日ですので、もうかなりことしはかなり遅くなっています」

立山に雪の気配はなく、初冠雪は平年の10月12日から大幅に遅れていて、観測史上最も遅かった1977年11月9日、2番目に遅かった2016年11月2日に次ぐ3番目の遅さとなっています。

理由を聞くと――

富山地方気象台 大江気象情報官
「気温が高めに経過しております。気温が高いと降っても雨になってしまいますので、初冠雪が遅くなってきているのかなと思います。10月の1か月の平均気温は過去最高、富山の気温ですけど記録しております」

室堂に雪はなく…山小屋のオーナー「夏の暖かさがずっと続いてる感じ」

10月の富山の平均気温は観測史上最高の19.3℃。

1日、実際に立山・室堂に行ってみると――

髙木健至 記者
「午前8時の室堂平です。手元の温度計では7℃と表示されていて、時折強い風が吹くと、肌を刺すような寒さを感じます。ただ、周辺を見渡してみても、雪はまだ確認できません」

標高約2450メートルの室堂周辺は例年であればすでに雪が積もっていますが、まだ緑と茶色の山肌が見えていました。

室堂周辺で長年営業を続けきた山小屋のオーナーは――

立山室堂山荘 佐伯千尋さん
「去年だと大体、くるぶしくらいまでは(雪が)あったように思いますよね。普通は一面真っ白ですよね。ここまで降らないのは初めてかもしれない」

去年10月22日に撮影された写真では一面が雪で覆われていて、全く山肌は見えません。

ひさしには大きな氷柱が何本もできています。

去年11月1日の写真でも一面が銀世界に包まれ、富山を代表する冬景色が広がっています。

立山室堂山荘 佐伯さん
「平年でいうと10月20日を越えると大体真っ白になってると。夏の暖かさがずっと続いてる感じで」

観光客は――

観光客
「思ったよりあったかい。結構着こんできたのにね。ライブカメラとか見て、(雪が)ないから来られるかなって。(雪が)降ってたら来なかった」

「これから(雄山に)登るので、雪があると厳しいなって」

「もはや暑いです。厚着をちょっとやりすぎました」

初冠雪の可能性は11月7日ごろか

気象台の大江さんに立山に冬の便りが届くのはいつになるのか予想してもらいました。

富山地方気象台 大江気象情報官
「一番近いチャンスとしては、7日ごろかなと思います」

気象台の大江さんは「曇り一時雨」で、最低気温が富山で6℃と予想される11月7日に初冠雪の可能性があるとみています。

富山地方気象台 大江気象情報官
「標高が高い山間部では雪が混じる可能性もありますので。ただ冠雪するかは、下から職員が目視でみて確認ですので、雲がかかったりすれば確認できないんですけども」

地上から雪が見える頃には室堂一帯は雪景色に。

初雪が舞うのはいつになるのでしょうか。

立山に雪が積もったとしても気象台の職員が目視で確認できない場合「初冠雪」は先送りなり、これまでで最も遅い11月9日の記録を更新する可能性もあるということです。

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