タクシー運転手の男が乗客への昏睡強盗の疑いで警視庁に逮捕されました。“安全”と言われる日本のタクシーで何があったのか?被害にあった女性がその恐怖を語りました。

女性の母親
「生きて帰ってきてくれて良かった」

被害にあった女性
「下手したら死んでる」

こう振り返るのは、被害にあった10代の女性とその母親です。

事件は今年8月、“安心・安全”と世界でも高い評価を受ける日本のタクシーの車内で起きました。

被害にあった女性
「『お嬢ちゃんやばいからこれ飲みな』って(運転手から)薬と水を渡されて飲んでしまって。赤い錠剤が1つと白い錠剤が3つぐらい」

被害にあった女性は8月20日の午前8時ごろ、東京・渋谷区内でタクシーに乗車。女性は具合が悪く、運転手の男にすすめられるまま錠剤を飲んでしまったのです。錠剤を口にした途端、車の中で意識を失ったといいます。

その、およそ4時間半後…

記者
「女性は、こちらの駐車場で倒れていたということです」

渋谷区円山町の駐車場。所持品が散らばった状態で女性が倒れていたところを通行人が見つけ、通報しました。

被害にあった女性
「嘔吐した状態で渋谷の駐車場に捨てられていて、病院まで行ったと聞きました。(Q.その後の記憶がない?)全く。起きたら病院でしたね」

翌朝まで意識は戻らず、気づいたらかばんの中身がなくなっていたといいます。

被害にあった女性
「現金3~4万円が抜かれていました。(運転手の男は)慣れている感じだったので、初めてではないと思います。ほかの人が同じ目にあったりしないように、早く捕まればいいなと願っていました」

そして、きのう、昏睡強盗の疑いで、東京・江戸川区のタクシー運転手・田中敏志容疑者(53)が逮捕されました。送検の際には、カメラに向かってピースサイン。さらに、「やっていない」の意思表示なのか、繰り返し手を左右に振る様子も。

田中容疑者はどんな人物なのでしょうか?JNNが入手した田中容疑者の履歴書。「志望動機」の欄を見ると…

田中容疑者
「わたくしたちタクシードライバーは法律にのっとり、ルールを守って乗務をしています。お客様との正しい関係を築いて、仕事をしたいと考えています」

タクシードライバー歴は「およそ20年」だという田中容疑者。警視庁によりますと、車内を写したドライブレコーダーからはSDカードが抜かれていたということです。証拠隠滅のためとみられています。

取り調べに対し、田中容疑者は容疑を否認していますが、被害にあった女性の母親は憤りを隠せません。

女性の母親
「警察の人から言われたのが、薬が強すぎて(娘は)死ぬ一歩手前。許せないですよね。心配するふりして薬飲ませて。生きて帰ってきてくれて良かった。心配したんだから…」

被害にあった女性
「ありがとう…」

都内ではほかにも同様の被害が確認されていることから、警視庁は田中容疑者に余罪があるとみて調べています。

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