広島市の繁華街で、「ランドマーク」のような存在だった建物が、姿を消します。回転する展望レストランを備えたホテルの解体が始まっています。

小林康秀キャスター
「ひろしま国際ホテルの解体工事現場にやってきました。躯体は残っていますが、内装が無くなっていますね。貴重な機会、さっそく入らせていただきたいと思います。これはひろしま国際ホテル看板ですよね、正面に掲げられていたものですが、外されて、ここに大事に置かれている状態だと思います」

6月から始まった解体工事。ちょうど1か月前に取材をしたときは、本格的に解体を前に内装を取り外した状態になっていました。

桑原組 山本清人事業部長
「今は産業廃棄物をきちんと処理をして解体するというのが大前提なので、いろんな種類の木くずや石膏ボードなど内装材を綺麗に取って、分別をして産廃として処分した後に、建物の躯体をRCの建物にして壊していく」

1966年にオープンしたひろしま国際ホテル。延べ床面積は7100平方メートル。地上13階建て地下1階と2階があって7階までがホテルの客室でした。

桑原組 山本清人事業部長
「そこから上の階が展望レストランという非常に特殊な形状になっています」

展望レストランに上がるためには、解体作業のために残されたエレベーターで、8階まであがります。そこから階段です。展望レストランは13階にあります。

小林康秀キャスター
「外の景色がいいですね、遠くまでよく見えますよ。本通り平和通り方向、南を見ていますが、本通りのアーケードが見渡せる場所だったのですね。高級感ただよう、そんな場所が回転しながら楽しめる場所だったのです」

オープン当初は「国際スカイラウンジ」と名付けられたこの場所は、広島の景色を楽しむために、1時間に1周を目安に、レストラン自体が回転していました。東京のホテルニューオータニの展望レストランの影響を受け、最上階に取り付けられました。鉄骨で組まれた床下をのぞかせてもらいました。

小林康秀キャスター
「床を棒のようなもので渡されていて、その棒が回転していく構造になっているんですね」

記念日のお祝いや、デートスポットとしても人気の場所でした。

小林康秀キャスター「こちらは以前お店が開かれていた時に使われていた、コースターのコピーです。ここから見える風景がイラストで描かれています。例えば原爆ドームで書かれているが、ここから見ると銀行や証券会社のビルで見えません。そして広島城、さらには中国TVRCCと描かれていますが、実際にはRCCの白いタワー棟が市民病院の建物も向こう側にちょっと見えると、イラストの景色からはずいぶん様変わりようです」

取材の時点で解体工事の進ちょくは、15%から20%ほどでしたが、展望レストランがあるタワーの部分は、どのように取り壊すのでしょうか?

桑原組山本事業部長「展望レストランは、四角く座を組んでいくような形で、隙間がないように足場は、まわり全部囲んだような状態。基本的には人力で、回転レストランに関しては壊していくと言うことです」

周囲が高い建物や道路に面しているため、安全に取り壊すために10年ほど前から検討を重ねてきました。小さな機械を使って人力で取り壊し、廃材はタワー中央に作られた大きな穴で、一旦8階まで降ろします。そこからはショベルカーで移動させ、別の穴から一気に1階に降ろして行くのです。

桑原組山本事業部長
「安全に考えてどんどん内側へ内側へ、壊したものを落としていくということです」

展望レストランの解体は、17日からはじまりました。屋根の部材を丁寧に外していきます。外側に散乱しないよう、内側へ内側へ人力で丁寧に壊していきます。手探りで構造を確かめながら慎重に進めました。部材を下に降ろすタワー部分の解体は年内いっぱい続きます。周囲の仮囲いがとれた時には、展望レストラン部分は跡形もなくなっていることになります。

様々なイベントが行われた広島市中心部にランドマーク的なたたずまいを見せていた、このホテルも、2027年夏ごろには新しいホテルとして生まれ変わります。

ホテルの運営会社である東洋観光は「解体の決定は非常に残念ではございますが、この地で、未来に向けて地域社会に新たな価値を提供できるよう、計画を進めている段階でございます。今後の新たな展開にもぜひご期待下さい」と話しています。

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