幼い頃からの夢を叶えるため、新潟県三条市に移住したひとりの男性に密着しました。大好きな「ものづくり」と「釣り」を活かした、その仕事とは―

「こんにちは。よろしくお願いします」
三条市に暮らす桜井貴史(たかふみ)さん(33)が手にしているのは、釣りの疑似餌・ルアーです。

桜井貴史さん
「この川だとイワナ・ヤマメがかかります。針一本なんで、魚に余計な傷もつかない。遊びなんですけど、せめて最小限に抑えられるように」

桜井さんは、ルアーをオリジナルでつくる『ルアービルダー』なんです。
その出来栄えを確認するため、週に一度の試し釣りが欠かせません。

桜井さんの妻・遥香さん(30)
「お!ヤマメ!かわいいサイズ、いいね~」

ルアービルダー・桜井貴史さん
「好奇心があるわけなんですよね、魚にも。魚がどこを食ってくるかというのがあるので、かかりやすいところに針をつける」

桜井さんの工房です。
釣る魚の種類によって、ルアーの材質や大きさが変わります。

ルアービルダー・桜井貴史さん
「この木はすごく軽い『バルサ』という木ですね。スカスカです。トラウト用のルアーです。浮力が変わるので、それで木を選びます」

渓流に生息するイワナやヤマメなどを狙う際には、ルアーが素早く動くよう、ボディを薄く設計するそうです。

「よりパタパタ、ひらひらさせる。そうすると、川にいる魚は興味を持って食いついてくるので…」

桜井さんは、宮城県登米市出身。ものづくりと釣りが大好きな少年でした。
高校を卒業後、釣りの技術が学べる専門学校へ進学し、ルアー製作を学んだといいます。

「ずっと小さい頃から釣りをしていて、いろいろな道具があって。その道具にスポットを当てて調べると、遊びの道具にいろんなギミックが詰まっていて。それを世に出して、世の中の人を喜ばせることってすごくいいことだよなって」

「釣りに関わる仕事をしたい!」強い思いでたどり着いたのが、ものづくりのまち・三条市。釣り具メーカーを経て4年前に独立し、念願のルアービルダーになりました。

釣り人の好みに応じるオーダーメイドも可能で、桜井さんの芸術的なルアーに多くのファンがついています。

ルアービルダー・桜井貴史さん
「根っこは釣り人なんで、どれだけ納得のいくものを作って、納得いく魚を釣れるか。なので、でっかい工房を構えてとかは正直考えていないですよ。自分がこだわって作ったものを、こうやって使って、『どうですか!』という魚を見せたい」

ルアーに欠かせない針金の加工。その技術を磨く場所がありました。
バネを専門につくる三条市の工場。桜井さんのアルバイト先です。

「自分の場合は“我流”でルアーの材料を曲げていたけど、こういうところに来ないと、特性をわからないままやっていたわけなので。自分の中にはない作り方や専門知識があるので、ここでついでに勉強もさせてもらうみたいな…」

坂爪スプリング製作所 坂爪諒大専務
「よく働いてくれるし、彼の仕事もあるので、彼の仕事の手伝いや案を出す感じで、切磋琢磨やっています」

ものづくりのまち、そしてアウトドアのまち、三条での出会い。
桜井さんの手がけるルアーが、まちのさらなる魅力につながっていきます。

ルアービルダー・桜井貴史さん
「フィッシングパークは下田地域のちょっと行きづらい場所だけど、いいところなのでみなさんに知ってもらいたいのと、そこでルアーの販売会もやらせてもらっているので、釣り人にもっと遊びに来てもらいたい」

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