「闇バイト」を実行役とした一連の強盗事件が、8月から主に首都圏で相次いでいます。20日には、首都圏から遠く離れた山口県光市でも、男性の住宅へ強盗に入ろうとしたとして、千葉県や茨城県に住む14歳から18歳の中高生3人が逮捕されました。3人に面識は無く、山口県警は3人を「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」であるとみています。強盗から身を守るためには、また、「闇バイト」に関わらないようにするにはどうすればよいのでしょうか。専門家などに取材しました。

闇バイトによる強盗事件には、どんな特徴があるのでしょうか。

■広島大学 吉中信人 教授
「例えば、1人暮らしであるとか、女性であるとか、狙いやすいターゲットをかなり絞った上で、ガラス窓を無理やり破るといった、かなり強引な手口が特徴になってると思います」

犯罪学に詳しい広島大学の吉中教授は「強盗犯は事前に下調べをして狙いを定めている可能性が高い」と指摘。下調べしていることに住民が気づける場合もあるといいます。

■広島大学 吉中信人 教授
「最近よく言われるのは、リフォーム業者を名乗って家の中の様子を伺うとか、あるいはセールスを装いながら、この家は例えばこの時間帯は留守が多いとか、この家には女性しか住んでない、お年寄りしか住んでないといったことを調べていると思います」

では、強盗犯に狙われるのを防ぐにはどうすればいいのでしょうか。吉中教授は、環境犯罪学の理論に照らすと、ポイントが大きく分けて3つあると言います。

1つは「領域性」です。強盗が入りやすい領域を極力作らないこと、周囲から見えにくい領域を極力なくすことが大事です。

2つめは「監視性」です。防犯カメラや近隣住民の目などで、「監視性」を高めることも重要です。

3つめは「抵抗性」です。鍵を二重三重にするなどして抵抗性を高めると、強盗犯が家に入るまでの時間を稼ぐことができ、その間に警察を呼んだり周囲に助けを求めたりすることができます。

「抵抗性」を高める方法は鍵以外にもあります。防犯対策に詳しい、セコムIS研究所の濱田宏彰(はまだ・ひろあき)研究員に聞きました。

■セコムIS研究所 濱田宏彰 研究員
「強盗と言っても、やはり泥棒と同じで家の中に入れさせない対策というのが1番重要だと考えております。具体的には、玄関、ガラス窓、あと一戸建てでしたら勝手口などのセキュリティレベルを上げることが大事だと思います」

住宅の窓ガラスを割り侵入する強盗事件が相次いでいることから、セコムでは今月防犯ガラスや防犯フィルムに関する問い合わせが、前の月に比べて20倍に増えています。防犯ガラスは、2枚のガラスの間に特殊な膜があり、衝撃を受けても貫通しにくく、犯人の侵入までに時間を稼ぐことができるといいます。また、窓ガラスにセンサーを付けて衝撃を検知し、警備員が急行するシステムもあるということです。

一方、広島県警は防犯対策とともに、私たち自身が「闇バイト」に加担しないように注意することも大切だといいます。

■広島県警察 減らそう犯罪情報官 太田貴之 警視
「一度でも闇バイトに応募してしまうと、『辞めたい』と言っても、『いまから家に行く』とか、『家族に危害を加える』『お前のことを警察に言う』など、犯罪組織から脅されて、結局は逮捕されるまで辞めることができなくなってしまいます」

15日ごろ、横浜市の住宅で男性に暴行を加えて殺害し、現金を奪ったとされる容疑者は、警察の調べに対し、「SNSで『ホワイト案件』などという投稿を見つけ、指示役とつながった」「仕返しや家族にも危害が加えられるかもしれないと考えると、断れなかった」と話しているといいます。

警察は闇バイトの募集には「よく使われる文言」があると指摘します。

■広島県警察 減らそう犯罪情報官 太田貴之 警視
「掲載される広告に、”即日現金”、”高額即金”、”副業”、”ハンドキャリー”、”書類を受けるだけ”、”行動確認”、”現地調査”などのワードがある場合は、特に注意していただければと思います」

闇バイトは、名前や住所、顔がわかる免許証などの身分証を写真で送るよう求められるケースが大半です。またSNSだけでなく、求人サイトなどで、普通のアルバイトに見せかけて「闇バイト」が募集されている場合もあり、注意が必要です。

万が一強盗などの犯罪行為を行った場合は、重い刑罰に処されます。強盗は、5年以上の懲役。強盗によって人を殺してしまった場合(強盗殺人罪・強盗致死罪)は死刑または無期懲役。出し子役や受け子役として闇バイトで募集されていることがある、特殊詐欺は10年以下の懲役に処されます。

広島県警は、もし闇バイトに関わってしまったらすぐに最寄りの警察署に相談するか、警察相談ダイヤル「#9110」に電話するよう呼びかけています。

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