2018年に当時勤務していたネイルサロンに2度放火した罪に問われていた被告の女性に対し、静岡地裁浜松支部は10月23日、無罪判決を言い渡しました。裁判所は、女性が火をつけたという直接的な証拠はなく、捜査が十分にされていないなどと指摘しました。

無罪判決を受けたのは、静岡県内に住む20代の女性です。

起訴状などによりますと、女性は2018年3月13日と26日の2度、当時勤務していた袋井市内のネイルサロンの店内に放火し、店の天井や壁などを損傷させた罪に問われていて、それぞれの『事件性』と『犯人性』が争点となっていました。

これまで女性と弁護側は無罪を主張していた一方、検察側は懲役8年を求刑していましたが、10月23日、静岡地裁浜松支部で開かれた裁判員裁判の判決公判で、來司直美裁判長は、2018年3月13日と26日の2つの火事を『事件性』については「出火原因は放火であると合理的疑いなく認められる」「内部犯による犯行であると認められる」としましたが、『犯人性』については、女性を犯人とする直接的な証拠がないうえ、当時できたはずの捜査が十分にされていない、従業員たちによる証言も先入観に基づいており信用できないなどといったことから『犯罪の証明がない』として、女性に対し無罪を言い渡しました。

また判決では、2018年3月10日に起きた店内の充電式掃除機などが焼損する器物損壊事件(不起訴)についても言及されていて、犯行時間や状況などを鑑みると「器物損壊事件の犯人は、被告人であると合理的疑いなく認められる」と述べられています。

無罪判決を受け、女性の担当弁護士は「(不起訴の)器物損壊事件の犯人となったことは弁護人の力不足。(無罪判決については)法と証拠にのっとった十分な判決で、控訴されたとしても引き続き最善を尽くす」などと述べたほか、物的証拠が乏しいにもかかわらず被告に対する取り調べや拘留が長すぎると指摘しました。

一方、静岡地検浜松支部は「判決内容を精査・検討し適切に対処したい」とコメントしています。

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