179分の167。最新の国勢調査で示された、北海道内で人口が減っている市町村の数です。
衆院選の争点をみつめる企画。21日は、地域経済や少子化をどう立て直していくのか、閉校が決まった小学校を通し、地域のいまをみつめます。
北海道後志地方の喜茂別町にある鈴川地区。人口117人の集落です。
鈴川小学校では、間近に控えた学芸会のリハーサルが行われていました。
在校生は2年生から6年生までの5人。みんな家族のように仲良しです。
鈴川小学校 松本里和教諭(32)
「寺子屋でスタートするところから平成の100周年くらいまでを、発表会という舞台設定で」
学芸会では、116年にわたる小学校の歴史を振り返る劇にも挑戦しますが、会は今回が最後。
学校が2025年3月に閉校するからです。
校内には、来年から通う小学校の新たな仲間の写真が。
5年生 工藤瞳子さん
「みんなの名前を覚えられたりできるように。楽しみなのもあるけど、ちょっと寂しい」
かつて140人以上が在籍した小学校。
20年以上勤める用務員の金井さんは閉校を機に退職し、来年4月、札幌市に引っ越します。
用務員 金井光昭さん(81)
「子どもたちは、もう大好きかわいくて。やっぱりなくてはならない学校だったんじゃないかな」
人口減少が続くにつれて現れる生活への影響。それは子どもたちも感じていました。
6年生 加藤愛己さん
「剣道をやっていて、月水金と土日にたまに大会がある。もう少し『ウサパラ号』の便が増えるといいな」
2022年、地域内を走る路線バスは廃止に。町営バスは多い路線で1日6~8便ありますが、日曜は運休するなど、便利とは言えない状況が続いています。
本番を迎えた学芸会。演奏には先生たちも参加、照明や舞台転換はマチの人たちが協力します。
4年生 米陀日香さん
「私は鈴川小学校でございます。今年で116歳」
劇では、かつてマチや学校が栄えていたころの様子を発表しました。
子どもたちの力で伝承してきた和太鼓の音色もことしが最後です。
2年生 小出一途さん
「(発表会はどうだった?)楽しかった」
小学校に着任して2年目の田中校長が地域の住民に感じたのは、ともに助け合う「共助」の思いの強さだったといいます。
鈴川小学校 田中豊校長
「何でも役場に頼もうという発想の人が、鈴川地区には少ない。われわれはここまでは頑張る。こういう理解をするという考え方が、すごくいろんな場面で聞かれて」
そんなマチの人たちが描く将来は。
5年生 小出琴さん
「いまは保育所の先生とか、学校の先生がいいなと思う。できるだけ鈴川に近いところがいい」
在校生の母親(鈴川小OG)
「空き家も多くなっているから、活用しながら移住者が住みやすいマチ。子育て支援をしてくれるような制度や施設が増えるといいなと」
3代で鈴川小卒業生
「(校舎を)何か企業が来てくれて、使ってくれたら」
住民たちが「ともに助け合う」状況に政治が甘えていないか、選挙のたびに口にされる「地域活性化」や「少子化対策」の本気度が試されています。
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