2004年10月、新潟県中越地方を襲った中越地震から23日で20年。地震を経験していない人が増え、記憶の風化も懸念される中、元消防士の男性があの日の記憶をつないでいます。
長岡市の大河津小学校です。この日行われる防災教育の授業の準備が進められていました。
「避難所にどんなものを持っていったらいいかを1年生から6年生までで話し合いをします」
その中心にいるのが中野雅嗣さん。地域や学校と連携しながら防災教育を行っているNPO法人 ふるさと未来創造堂 の常務理事を務めています。
【NPO法人ふるさと未来創造堂 中野雅嗣 常務理事】「避難所の困りごとですとか、そこでできる工夫についてお話をいただきます」
毎年、中越地震が発生した10月23日が近付くと小学校などでの防災教育講座の依頼が増えるそうです。
【NPO法人ふるさと未来創造堂 中野雅嗣 常務理事】「9、10月で68回かな。我々のスタッフだけでは回らないのでうちの非常勤のスタッフが2人とサポーターさんが3人。計、私含めて6名でやっていく感じですね」
【NPO法人ふるさと未来創造堂 中野雅嗣 常務理事】「水道が使えなくなりました。車で水を運んできてくれて、そこに水をもらいに行くということになりました。飲み水がなくて大変ですね。でもそれだけじゃないんですよ。トイレもお水使いますよね。トイレも水に流すこともできないなんてことも起きました」
中越地震を知らない子どもたちにあの日何が起こったのかを説明します。
中野さんは地震当時、長岡市消防本部で勤務していました。
【NPO法人ふるさと未来創造堂 中野雅嗣 常務理事】「通信指令という119番を受け付けるところはもう電話が鳴りっぱなしで。土砂が崩れて生き埋めになってしまった人がいた現場に駆け付けたり、ガス漏れが発生しているようなところに駆けつけたりして、けが人を救急車で搬送したり数日間は不眠不休みたいな感じですよね」
中野さんは、消防本部を退職後、2016年からNPO法人を設立し、子どもたちへ防災教育を進めています。
この日は、災害時に避難所で使う組み立て式の段ボールベッドを紹介。子どもたちは、体育館の床と段ボールベッドそれぞれで横になってみて、その違いを感じていました。
【児童は】「段ボールの方が温かかった。段ボールベッドの方が寝やすい」
【児童は】「段ボールベッドの組み立て方がわからない人たちに教えてあげたいと思いました」
【NPO法人ふるさと未来創造堂 中野雅嗣 常務理事】「段ボールベッドって避難所の中で必須なんですよ。実際に触れたり組み立てたことがあるって人は大人でも少ないんですね。今の子たちが自分たちにあるものを触ってできるようになることが極端なこと言うと、家に帰ったら親にとっても学びになるし」
地震の記憶を語り継ぐため中野さんが始めたサービスがあります。
『カタリdeツナグ』。地震を経験した語り部たちの証言をテーマごとに分けて5分ほどの動画にしています。
学校で教材として使ってもらい、防災教育の出発点にして欲しいと期待しています。
【NPO法人ふるさと未来創造堂 中野雅嗣 常務理事】「体験談が風化してしまわないように映像で残し使いやすい教材化する。映像教材自体も5分とか短い方が子どもたちが考えるためのきっかけができたり、その後の様々な場面で活用しやすい」
中越地震の発生から20年ー。記憶をつなぐためには伝える側の工夫も大切だと考えています。
【NPO法人ふるさと未来創造堂 中野雅嗣 常務理事】「語り継ごうとするっていうこと自体はものすごく価値があるんです。語り継ぎ方っていうところについては子どもの年齢だったり、興味関心というところに合わせたり、はたまた学校の中の雰囲気に合わせていろいろと工夫していく必要があるんじゃないかと思います」
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