今回の衆院選、最大の争点が政治とカネの問題の中で特に企業・団体からの献金に注目します。企業は誰にいくら献金しているのか。なぜ献金するのでしょうか。
10月9日衆議院解散の日。党首討論で立憲・野田佳彦代表がまず口にしたのは。
(立憲民主党 野田佳彦代表)
「企業からたくさんお金をいただくのが一般的になっている。企業・団体献金の禁止からスタートするのが大事だと思う」
(石破茂総理)
「企業・団体であってもそれが社会の構成員である以上、いろいろな政治的な考え方を持つ以上、そこからお金をいただいてはならないということにはならない」
企業や団体からの献金、つまり寄付について、立憲民主党など野党は、不正の温床だとして廃止を訴えているのに対し、自民党は収入源が断たれることから、廃止に否定的な立場を示しています。
では、東海地方の議員は企業・団体からどれだけの献金を受けているのか。
(記者)
「自民党議員は数百万円から1000万円以上受け取っている議員もいます。一方野党を見てみても、立憲民主党の議員で、1500万円受け取っている議員もいます」
衆院議員34人の政治資金収支報告書を調べてみた
愛知・岐阜・三重の衆院議員34人の政治資金収支報告書を調べたところ、おととしの1年間で少なくとも570の企業から、総額約3億3600万円の献金があったことが分かりました。
政党別の献金額は、自民党は議員1人平均約1300万円、立憲民主党は約520万円、国民民主党は約480万円、日本維新の会は12万円でした。
議員個人への献金は禁じられていますが、議員が支部長を務める政党の支部あてには献金でき、中には年間5000万円近い献金を受け取っていた議員も。
事務所の家賃やスタッフの人件費移動のガソリン代など、政治活動には様々な経費が必要とされていますが、こうした活動が企業からの献金によって支えられている実態が浮き彫りになりました。
企業はなぜ多額の献金を行うのでしょうか。東海地方の自民党議員に毎年献金しているという建設会社の社長が取材に応じました。
「それで友達関係ができたり、交流ができれば」
(自民党支部に献金している建設会社社長)
「年に何回か(議員主催の)懇話会開きますということなので、分かりました。応援しましょうとただそれだけのことです」
同業他社の社長も参加する議員主催の勉強会に参加するための会費で、“業界のしきたり”としての側面が強いと話します。
(自民党支部に献金している建設会社社長)
「議員の会があったら入りたいということだけ。それで友達関係ができたり、交流ができれば」
Qこの会に入っていることで仕事がもらえるとかは?
「誰ももらっとらん」
政治献金そのものを禁止することについて専門家は
企業団体献金を廃止すると何が起きるのか。専門家はこうしたリスクを指摘します。 憲法学が専門の中央大学 橋本基弘教授は。
(中央大学 橋本基弘教授)
「政治献金がダメだということになると国費を使うしかない。公費を使うしかない。そうすると役所が結局管理することになる。最終的には政党に対して国が管理することにならないだろうか。そうなってくると自由な活動をしなければならない政党や政治団体が、逆に締め付けを受けてしまう。政治献金には問題が多くて、何とかしないといけないことは事実だが、政治献金そのものを禁止することについては、逆に民主主義のためにならないのではないのか」
「カネをかけた政治家にいい仕事はできない」
一方、細川内閣のブレーンとして政治献金の規制強化などを行った、元衆院議員の田中秀征さん。企業献金によって政策がゆがめられていると訴えます。
(元衆院議員 田中秀征さん)
「カネを集めれば集めるほど政治的な自由は小さくなる。『なんであの人こういうこと言えないんだ』と。言えないのは必ず言えない理由がある。政治資金集めというようなところで。カネをかけた政治家にいい仕事はできない。それだけ縛られるるっていうこと」
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